【Fischer's】Hop Step Jump ** マサイ

紅い華 * 01 ページ17

マサイ side




シ「普通の会社の飲みってどんなもんなん？」

俺の家でAちゃんが飯を作ってくれた。
撮影でいたシルク、モトキ、ンダホも一緒に夕飯。相変わらずAちゃんの作る料理は美味くて。今日はシルクが分量の話をしながら隣で見ていたようだったが、どのくらいの量か尋ねたのだろう、答えが納得出来なかったのか"でたーっ、いや適当とか無理だからっ"という声がきこえてきた時は、思わずモトキと目があって笑ってしまった。

「んー・・多分そんな変わりはないと思いますよ？」

一般企業の飲み会。
仕事内容が違えば雰囲気も違うものだろうか？どうやら明日、Aちゃんは飲み会らしい。ここにいるメンバーは一般企業への就職の経験はない。学生の時の飲み会は楽しい会。今の事務所の飲みは楽しいけど、先輩後輩関係が学生時代よりしっかりでる。一般企業は上司と部下と言う関係上もっときっちりかっちりしてるのだろうか。

「うちの課は課長がフランクなので、そんなに堅くないんですよ。でも」

今回の飲みは決起会らしい。
1月も明日で終る。どうやら2・3月はAちゃんが所属する課にとっては一年で最もといっていい程過酷らしく。その為の気合い入れも含め毎年行ってるとか。

「今年は経理課だけでなくて、何でか総務課も合同なんですよね」

"課長同士仲良しだからですかね、ふふっ"そう言いながら残り少なくなったご飯を口に運ぶ。
そうは言ってもやはり上司と部下の関係は例外なくで、目上の方にお酒を注いだりと気を使う部分はあるらしい。

モ「総務課に知り合いいるの？」

そもそも、"課"という区切りも俺達にはあやふやなのだ。別々の内容の仕事をしているのはわかるが、どの程度接点があるものなのか。

「大体はお話はしたことあるのでわかりますよ。あと、１人だけ私が新人の時から関わる事が多くて面倒を見て貰ってる先輩がいます」

"そんな感じなんだー"と頷くモトキの声を聞きながら最後に残しておいたお肉を口に運ぶ。楽しく何気なく聞いていた話だったのだが。

「その人は柚木さんって方なんですが、マサイくんは一回だけ会ったことあるの覚えてますか？」

突然話をふられて、間が出来きた。もちろん、思い出すことも含めて。
柚木さん？

「秋頃に水族館に行った帰りに、カフェで・・・」

マ「・・・あっ！」

あの時確か、Aちゃんを取られた感じがしたんだ。そして、あの人がAちゃんを見る目は優しくて。

マ「あの人もいるんだ」

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