【Fischer's】前途多難な恋だから * モトキ

Fischer's * 05 ページ37

自分のスマホに表示される皆の動画。
YouTubeを開いて検索してみるとその人気っぷりを更に知ることになった。登録者数500万人以上。あまりの数字によくわからなくなってくる。そんな有名な人達と普通に一緒にいて良いのだろうか。

「皆・・・有名人だったんだ・・・無知すぎる自分が恥ずかしい・・・」

落ち込んでる私にシルクくんが声を掛けてくれた。

シ「そんなに気にすることじゃないって、あ、んじゃさ、キス動画見てみる？」

「キス動画って、女子高生が言ってた」

シ「それ！馬鹿馬鹿しいこといて、楽しんで、それを皆にも楽しんでもらって。それだけなんだから、別に普通の人間だしな」

マ「そそ。Aちゃんが何か気にしたりとかそんなの全く考えなくていーから、今まで通り仲良くしよーぜ」

モトキくんの方を見ると苦笑いだ、やはり呆れられてるのだろうか。一気に不安が押し寄せてくる。

「モトキくん、知らなくてごめんね？」

モ「俺としては・・・知らないままでいて欲しかった・・・」

シ「大丈夫、こいつがテンション低いのはAちゃんのせいじゃないから」

シルクくんは笑いながらそう言うとノートパソコンを取り出した。その行動にモトキくんはまるでこの世のおわりかのように頭を抱え込み"あー"と唸っている。何があるのだろうか。まわりの皆はニヤニヤ楽しそうなのに、この温度差は。

ノートパソコンに映し出されたのは、初めて見る皆の、"Fischer's"の動画だった。そこにはまだ会ったことのない"ザカオさん"も映っていた。

『どーも、Fischer'sシルクです。ンダホ！ぺけ！モトキ！マサーイ！！ザカオー。ダーマ。全員集合ーー！！』

いつも見てる皆、今も近くにいる皆の、いつも通りだけどいつもと違う一面。動画の中の彼らは実際より少し幼く見えて可愛い。

『ちゅーですよ！』

モトキくんの発言に私自身クスっと笑ってしまう。キス動画というのは、身内でほっぺにチューする動画だったらしい。皆かなり嫌がってる様子。ダーマくんなんて吐きそうなリアクション。

「ふふっ、皆そんなに嫌なの？」

モ「嫌も嫌、最悪だよ」

じゃんけんで一人目をがぺけたんに決まった。
二人目は目隠ししたぺけたんが皆の写真が印刷してある紙を選んで決めるらしい。

そして、選ばれたのは・・・

「モトキ、くん・・・くっふふっ」

嫌がる本人には申し訳ないが、嫌がるからこそ面白すぎてたまらない。ダーマくんがフィーバーする頃には声を出して笑ってしまっていた。

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