【平和組・TAKOS】吸血鬼＋幼馴染み＝私

三十三夜目 ページ33

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点々と小さな灯りが夜道を照らす。

夜風が髪をなびかせて、身体の芯から冷やしていく。

俺達の足音だけがこだまして、どちらとも話すことはなかった。


ふと視線を上げると、真っ暗な闇の中に少し欠けた月が見えた。

…月なんて、なくていいのに。

最近は特にそう感じる。

月明かりを浴びると、コントロール出来なくなっちゃうんだよ。

…あいつらみたいな、人の命の大切さを知らない、守るべき人がいない

完全な吸血鬼にはどうでもいいかも知れないけど。








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目の前には、

目を見開いたまま固まっているAちゃん。


…それもそうだよね、

いきなり吸血鬼とか言われても、意味分からないよね…

さっきまではそんなの、覚悟してたつもりなんだけどなぁ…。



…すごく、息が苦しい。

俺からAちゃんが離れて行っちゃう気がして、すごく悲しくなった。

こんな俺には、Aちゃんの傍にいることも許されない。

…そう、悟った。



俺の正体を知ったAちゃんは、きっといつも通りに…なんて接してくれない。

…分かってる。








だから、俺も離れよう。

Aちゃんが傷付かないように…

家は隣だし、学校も同じだけど。

学年は違う、それにいつもよりも早く家を出ればいい。









“幼馴染みで吸血鬼”のアブさんから、


“ただの幼馴染み”のアブさんに…早くならないと。




他のみんなにバレたら面倒になる。

自分から言ったのに馬鹿みたいだけど、早く忘れてもらおう。







・







焦りを覚えながら、Aちゃんに背中を向けて歩いた帰り道。







…相談出来る人が欲しかったな、なんて思ってたら


一筋の涙が頬を伝っていた。




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