二十八夜目 ページ28
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ア「…話したい事、なんだけどさ…」
『…う、うん…』
俯いているアブさんに、若干心構えながら返事をする。
ア「…Aちゃんって、あいつらが何者なのか…知ってる?」
あいつらって、やっぱりあの男達のことだよね…
『…何も、知らない…』
正直、知っていればここまで悩んでなかったと思う。
正体どころか、何をされていたのかすら分かっていないし。
…こんな事を聞くってことは、アブさんは何か知ってるのかな…?
ア「…そっ、か…」
気まずそうに俯いたままのアブさん。
少し沈黙が続いたあと、覚悟を決めたようにアブさんは私と目を合わせた。
ア「……あのね、信じられないと思うんだけど…」
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ア「…あいつら、吸血鬼なんだ。」
…えっ…?
突然出てきた、非現実的な言葉に思わず固まる。
だって、吸血鬼なんて現実に存在しない…。
作り話でしょ…?
アブさんはここまで連れてきて、冗談を言っている…
そうに違いない、よね…?
真剣な目で言われたって、意味分からないよ。
そんな私に、アブさんは悲しそうな顔をしていた。
ア「…これ見ても、信じられない…?」
弱々しく呟いたアブさんは、少し欠けた月を見た後に振り返った。
『…っ…!?』
口元に見えた牙には見覚えがあった。
そう、あの男達と同じ…
割と色白なアブさんの肌が、今は青白く見える。
そして、真っ赤に染まった瞳。
ア「…俺もさ、吸血鬼なんだ…。」
少しへらっとけど、悲しそうな目をしている。
…嘘つかないでよ、なんて言えなかった。
きっと本当のことだと思うから。
すごく、息が苦しくなる。
アブさんが怖いって気持ちはあまりない。
だけど、いつも通り接しられるか、って考えたら…自信ない…。
アブさんはあの男達とは違うって、分かってる。
散々助けられて来たし、何より目の前にいるアブさんの目が優しい。
本当は、そんなの気にしないって…大丈夫だよって、言ってあげたいのに。
…弱い私には、こんな事もできない。
…そうやって逃げてる私が、大嫌いだ。
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ピアル - チョコはすさん» 初めまして、夏位からずっと更新を待っていた者です。単刀直入にお聞きしますと、もうこの作品を更新してくれないのですか?私はこの作品がとても好きなので、無理しない程度でいいので更新待っています (2016年4月18日 23時) (レス) id: 690021def7 (このIDを非表示/違反報告)
チョコはす(プロフ) - アロエさん» コメありがとうございます!アブさん私も大好きです!これからアブさんたくさん出すつもりです!更新頑張ります! (2015年8月9日 22時) (レス) id: 4b9f39c94c (このIDを非表示/違反報告)
アロエ - タイトル見て瞬間的にクリックしてしまいました!wアブさん大好きなので出てきて嬉しいです!更新頑張ってください!応援してます! (2015年8月9日 22時) (レス) id: edd707cc42 (このIDを非表示/違反報告)
チョコはす(プロフ) - AENさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえると本当に嬉しいです…!!更新頑張ります! (2015年8月8日 12時) (レス) id: 4b9f39c94c (このIDを非表示/違反報告)
AEN(プロフ) - コメント失礼しますー|ω・)チラッ この作品本当に大好きで、楽しく読ませてもらってます♪♪更新頑張ってくださいっ!!(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年8月8日 12時) (レス) id: e5841bf7d3 (このIDを非表示/違反報告)
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