life 64 ページ26
雪村side
スタッフステーションへ向かう途中、私の横を藍沢先生が通り抜けていく。
雪「…───‥？」
不思議に思いながら何気なく藍沢先生が向かった方向を見る。
その方向を見てはっと息を呑んだ。
足がガクガクと震えだし、頭が「逃げろ」と警告を出す。
それでも体は言うことを聞いてくれなくて、反射的に顔を逸らして隠す。
逃げろ、見つかる前に。
もう一人の自分が何度もそう言い聞かせるけど、石のように固まった足が必死に反発している。
私の目線の先にいるのは、緋山先生と藍沢先生に押さえつけられている母親。
――――なにしてるの。
やめて、これ以上先生達に迷惑を掛けないで、と心の中で叫ぶ。
焦りで呼吸が速くなる。
その時、母と視線がぶつかった。
一瞬母は動きを止める。
でもすぐにぱあっと顔を輝かせる。
―――ああ、きっと
沙代「…双葉ちゃん！探してたのぉ〜
あれ、怒ってる？仕事中なんだ、いいねぇ。かっこいいよぉ」
やっぱり。
雪「お母さん…、」
思わず声が震えてしまう。
嫌味をたっぷり含んだ母の言葉は、ドスンと重く心にのしかかる。
藍沢先生達がジッとこっちを見ている。
―――恥ずかしい。お願いだから、見ないでよ。
まっすぐ藍沢先生達を見据えて、口を開く。
雪「…すみません、あとは私がやるので、席外してもらえませんか…」
声を絞り出すと、藍沢先生は小さく頷いて、緋山先生と共にスタッフステーションに入っていった。
その姿にホッとしつつ、母の前にしゃがみ込む。
雪「――――いい加減にして。」
思っていたより低い声が出て、自分でも驚く。
当の本人は薄ら笑いを浮かべながらじっと俯いている。
雪「…どうして普通に出来ないの？どうしてお酒をやめられないの？
どうして迷惑ばっかりかけるの？みんなお母さんが思ってるほど暇じゃないんだよ…！」
つい感情的になって声が大きくなる。
雪「お母さんに構ってる時間なんて本当はない…！お母さんより重症なひとはたくさんいる。
そのひと達につぐはずの時間をお母さんが奪ってるの！
分かる？私がどんな思いで―――「分かってるわよ」本当に…？」
私の言葉を遮った母の瞳に、嘘は感じられなかった。
沙代「分かってる…あなたが頑張ってたの、ちゃんと見てたわよ。」
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らむれもん - キラあやさん» 応援ありがとうございます！コメント励みになります。頑張ります！(^^) (2018年8月26日 20時) (
レス) id: e372e1ae53 (このIDを非表示/違反報告)
キラあや - らむれもんさん» そうですか、応援してるのでこれからも頑張って下さい！ (2018年8月26日 20時) (レス) id: bf70448eda (このIDを非表示/違反報告)
らむれもん - キラあやさん» そうですね…ある程度票が集まったら、と考えているのですが、多分、もうそろそろなはず…です！ (2018年8月26日 16時) (レス) id: e372e1ae53 (このIDを非表示/違反報告)
キラあや - 次の作品っていつ頃になりそうですか？ (2018年8月26日 14時) (レス) id: bf70448eda (このIDを非表示/違反報告)
らむれもん - 彩さん» コメント、ご意見ありがとうございます！橘先生がお好きなんですね。今後絡みを増やします！ (2018年8月26日 11時) (レス) id: e372e1ae53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむれもん | 作成日時：2018年7月27日 15時
