1-Ki- ページ1
危なかった。
もう少しで口から出る所だった。
何とか会計で誤魔化したから良かったけど鏡を見なくても自分の顔が真っ赤になっているのは勿論、まだ春先なのに額から尋常じゃないくらい汗が出ている。
それ程までに焦りと興奮が入り交じっている俺を他所に隣でニコニコしながら駐車場へ向かう横尾さん。
スラリとした体型で颯爽と歩く姿を見ると改めて羨ましいくらいのスタイルの良さだ。
この外見からはとても想像出来ないくらいどうしてこの人はマイペースっていうか、鈍いっていうか。
いや仮にあの時横尾さんに聞こえた所できっと、
「何言ってんだよ、当たり前だろー！」
なんて。
これまた全力の笑顔で肩を小突かれるだけで平和に終わるかも知れないけど。
でも万が一。
気付いてしまったら。
この手の事に超がつくほど鈍感だからといって、その万が一に核心に当たってしまったら。
俺はもうここには居られない。
この笑顔も舌足らずな口ぶりの言葉の1つもずっともう見る事も聞く事も出来ない。
そんな事考えただけでも恐怖で鳥肌が立つ。
報われないと分かっていても最悪の形でだけは終わらせたくはない。
そんな反省気分の俺とは対照的に横尾さんはやっぱり相変わらずのニコニコ笑顔で上機嫌だ。
「いやー久しぶりにガッツリの肉もいいね、すげー美味かった！」
満足げな横尾さんの表情につられ俺も笑みが零れる。
『ふふ、でしょ？！』
「ていうかミツちょっと飲み過ぎ、明日も稽古なんだからフラフラしてたら滝沢くんに怒られるぞ」
横尾さんは少し睨みながらもちゃんと俺の明日の心配をしてくれる。
優しい。めちゃくちゃ優しい。
俺だけに向ける優しさじゃないのはわかっててもやっぱり嬉しい。
好きな人に心配されるって幸せだ。
『ふふん、だいじょーぶだよこんくらい...っ』
「あっ」
その時は一瞬だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたlove(プロフ) - 梨央さん» こんにちは!!前回は「書いてください」と失礼なコメントすみませんでしたm(__)mみっくんが切なくて切なくて……まだガヤさんの気持ちが分からないのでどうなんだろう？とドキドキしております笑これからも更新楽しみにしております。 (2016年12月18日 16時) (
レス) id: 0230438538 (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - わたloveさん» 嬉しいコメントをありがとうございます。現実が少々バタついておりまして滞っておりますが、近日中に更新出来るようにしたいので宜しければ今後ともお付き合い下さいませ！ (2016年11月21日 12時) (レス) id: 6b9517f52f (このIDを非表示/違反報告)
わたlove(プロフ) - こんにちは!!すごくすごく楽しく読ませていただいています。わたたい、横北ともに大好きなので、みっくんの切ない恋心と横尾さんの思い… すごくドキドキしながら読ませていただいています。ぜひ続きを書いてください (2016年11月6日 1時) (レス) id: a56c871f82 (このIDを非表示/違反報告)
unknown(プロフ) - 梨央さん» 一度立ったら、外すことはできませんよ。作り直すしかありません。 (2016年8月29日 6時) (レス) id: 9aa08c413a (このIDを非表示/違反報告)
梨央(プロフ) - unknownさん» 1もフラグ立てていないのですが、何故か強制執行されてしまい解除が出来ない状態でございます。申し訳ございません。。 (2016年8月29日 4時) (レス) id: 6b9517f52f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梨央 | 作成日時：2016年8月27日 17時
