１００と４０と１ ページ4
バサリバサリ、という羽音がとうとう近づいて来たので、一階のウッドデッキに繋がる扉を開ける。
すると、ちょうど赤い羽根が生えた男が人を抱えてゆっくりと降下してくるのが見えた。
ふわり、と軽く庭に降り立った兄さんと寧人に、よっ、と片手を上げる。
「いらっしゃーい、何のお構いも出来ないけど上がって上がってー」
「病人にもてなされようとか思ってないから」
「千悠！ 熱出てるんだろ！ なんで大人しく寝てないんだよ！」
「ついさっきここに来たんだもーん」
言い訳がましく間延びした声で言うと、何枚もの赤い羽根に体を拘束された。おお、まさに目にも止まらぬ早業。
「物間くん、俺はこいつをベットに投げ込む」
「僕は買って来たものを冷蔵庫に入れます。…千悠、換装解けよ？」
「了解ッ！」
寧人の珍しい命令口調に震え上がって敬礼する。怖い。なんか今日、怒られてばっかりな気がする。
「トリガー、
「千悠、部屋どこ？」
「二階の階段上がって左側」
羽の拘束が解け、兄さんにお姫様抱っこで抱きかかえられて階段を登る。…振動が辛い。気持ち悪い。脳みそ揺れる。
二階に上がり、兄さんが部屋のドアノブに手をかけると、扉の表面が幾何学模様に光を発した。
『暗証番号を発声してください』
「ワールドトリガー」
『…ピピッ、認証。セキリュティを解除します』
ガチャリ、とドアノブの奥の方で金属が噛み合うような音が聞こえた。こっちは普通の人にも聞こえる音量にしてあるから、多分兄さんにも聞こえたんだろう。
再びドアノブに手を伸ばそうとする兄さんの服の袖を引いて制止する。
「ごめん兄さん、これ罠」
「え、声紋認証と暗証番号以外にまだあるの？」
「うん」
頷いて、右側の壁をトントンと軽くノックすると、文字盤が現れた。
さっきの金属音に紛らわせて鳴った音程の違う八つの機械音を、設定しておいたアルファベットに頭の中で変換して打ち込む。
ちなみに、これは指紋認証も兼ねている。あと、決まった順番の指を使わないと開かない。
まあ、傍目にはただ予め決まっていたパスワードを打ち込んでいるようにしか見えないだろうけど。
でもパスワードは毎回違うし、聴覚強化系の“個性”がないと金属音に紛らわせた機械音は聞こえないし、そもそも
「……厳重だね」
まあね、と曖昧に苦笑して、今度こそドアノブを捻った。
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サミサ(プロフ) - 寧人との絡みなどがおもしろく楽しく読ませていただきました。続きがとても気になりますます。更新を待っています。 (2021年6月17日 13時) (
レス) id: d964c43780 (このIDを非表示/違反報告)
生 - 続きがすごく気になってます！ 更新お待ちしてます！！ (2020年7月30日 15時) (レス) id: 9eee986976 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずみかん(プロフ) - 読みやすくて、展開も好きだし面白くて大好きです！更新してくださるのを待ってます！ (2020年4月5日 16時) (レス) id: c992a0d797 (このIDを非表示/違反報告)
満月(プロフ) - ワートリ、ヒロアカのクロスオーバーで一番好きな作品です。ゆっくりでいいので、更新待ってます。 (2020年3月29日 20時) (レス) id: ed9e694ddc (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいです！更新頑張ってください応援しています！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺青 | 作成日時：2019年7月29日 13時
