物間とデート。１と１ ページ45
「ん〜っ、美味しー！」
ぱくっ、と自分のクレープにかじりついた千悠は、そう言って頬を緩めた。
その隣では、物間も自分のクレープを美味しそうに食べていた。
ねえ、と物間が千悠に声をかけた。
千悠は「ん」とだけ言って、クレープを物間に手渡した。
物間はそれを一口食べて、「こっちも美味しいね」と言って返す。
今度は、寧人、と千悠が声をかけた。
「はいどーぞ」と応えて、物間はドリンクを千悠に渡す。
千悠はそれをストローで飲み、「面白い味してるね。林檎と、レモンと…あと何だろう？」と分析しながらプラスチック製のカップを返した。
「のう、寧人さんや」
「なんだい、千悠さんや」
おふざけを混ぜながら、千悠はキリッとした顔を作って物間と見つめあった。
そして、真面目な顔で、慎重に口を開く。
「私たち……、カップルだと思われてる」
「ぶっふぉお！」
物間が吹き出して、千悠が「うわ、拭きなよ？」と軽口を叩いた。
余計なお世話、と睨んで、物間はハンカチで自分の口元を拭う。
「ねえどんな気持ち？ ねえ今どんな気持ち？」
すっと物間が真顔になった。
千悠を上から下まで順繰りに見回して、それから深刻そうな顔で言った。
「…ないな」
「失っ礼ー！」
千悠はきゃらきゃらと笑った。その表情のまま、声のトーンを落ち着かせて言った。
「私もないなって思った」
「…まあ、頑張れば…、いけなくもないような気がしないでもない…？」
悩むように腕を組んで首を傾げる物間。
「でもねえ、寧人はなんというか…恋愛対象ではないよね」
「うん、ないね。親愛と友愛と家族愛その他諸々をぶっこんで混ぜたような感じだよね」
「…んふ、濁すの？」
「言って欲しいの？」
にこ、と笑う千悠と、挑発的に笑う寧人が睨み合う。
今回均衡を破ったのは、千悠の方だった。
「じゃあ私が言っちゃおう。私と寧人のお互いに向ける感情ってさ…、ぶっちゃけ、依存じゃね？」
「うわ、ぶっちゃけるなー」
感心したような、嫌そうな顔で物間はタピオカを吸い込んだ。
「だって寧人、私が一人寂しく死んでいきそうになって、それを回避出来ない状況に追い込まれたらどうする？」
「心中する」
「ほらー！」
「じゃあ千悠、僕の命と世界を天秤にかけることになった時、どうする？」
「世界を選ぶけど、ひっそり不安定になって数年後に後追いするって私のSEが言ってる」
「ほらー！」
やや物騒な会話で、二人はけらけらと笑った。
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紺青 - 零奈さん» ありがとうございます！ 頑張ります。 (2019年4月21日 9時) (
レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 紺青さん» 分かりました。大丈夫ですよ。本編登場を心待ちにしています！ (2019年4月20日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» リクエストありがとうございます。天喰環には、番外編ではなく本編で絡ませる予定があるので、今の時点で出すことは、話の都合上出来ません。すみません。 (2019年4月20日 18時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - サクラさん» リクエストありがとうございます。「物間とデート」という題名でアップさせてもらいました。これからもよろしくおねがいします。 (2019年4月17日 21時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - リクエストで夢主と天喰環に絡んで欲しいです。できれば、あまり喧嘩腰ではなくほのぼのとした感じでお願いしたいです。 (2019年4月5日 23時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺青 | 作成日時：2019年4月2日 0時
