９０と２ ページ43
〈三人称視点〉
はあ、と一つ溜息を吐くと、押し切る形でホークスのホテルの部屋へ押しかけてきた妹が、なあに？ と訊ねるように小首を傾げた。
表情は、鉄壁で完璧な微笑み。
図太い。口の中だけで小さく呟く。
どちらかといえば今この状況では少し負い目を感じていてもおかしくないのだが、そんな素振りは全く見えない。いや、こいつのことだから、綺麗にさっぱりと隠し切っていても何ら不自然ではないのだけれど。
そして欺いているかもしれないという可能性がいくらあったとしても、あちらからアクションを起こされない限りは、ホークスが問い詰めることもない。
そんなホークスに甘えきっている千悠は、
「あ、ねえ兄さん、夕食なんだけど、予約取っておいたよ。このホテルの最上階に展望レストランがあるでしょ？ あそこ。景色が綺麗なんだってねえ、そういえばクラスの子が…」
などと、いけしゃあしゃあと話し始めている。
というか、そのレストランは超人気で、予約必須だったはずだ。押しかけることが以前からの確定事項だったのか、何やら伝手を使ったのか。どちらにしろ、潔癖な人から見れば良いとは言えない。
そんな不良妹は、ベットの上に行儀悪く寝転がってクッションを抱き締めて、無防備に無警戒に寝転がっている。ごろごろと喉が鳴っている気がする。幻聴だろうと、聞こえたったら聞こえた。人に甘える猫か。
…そう、甘えているのだ、こいつは。
話さないくせに、明かさないくせに、背負わせないくせに、甘えているのだ。この馬鹿な妹は。資料上でも血縁上でも赤の他人でしかないこの少女は。
ホークスに甘えているのだ。
はあ、ともう一つ溜息。
「…分かったから、取り敢えず着替えるか寝転ぶのやめなさい」
「なんで？」
「年上の男と二人きりの部屋でスカート穿いて寝転ぶなっつってんだよ！」
口調が荒くなってしまったのは、ご愛敬、ということで許して欲しい。
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紺青 - 零奈さん» ありがとうございます！ 頑張ります。 (2019年4月21日 9時) (
レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 紺青さん» 分かりました。大丈夫ですよ。本編登場を心待ちにしています！ (2019年4月20日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» リクエストありがとうございます。天喰環には、番外編ではなく本編で絡ませる予定があるので、今の時点で出すことは、話の都合上出来ません。すみません。 (2019年4月20日 18時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - サクラさん» リクエストありがとうございます。「物間とデート」という題名でアップさせてもらいました。これからもよろしくおねがいします。 (2019年4月17日 21時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - リクエストで夢主と天喰環に絡んで欲しいです。できれば、あまり喧嘩腰ではなくほのぼのとした感じでお願いしたいです。 (2019年4月5日 23時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺青 | 作成日時：2019年4月2日 0時
