D.Gray-man ノアの一族でアレンの妹！？ (ページ25)

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第二十二話　ページ25

目の前の可憐な少女たちが、悪魔が、残酷に嗤う

「何が目的で…」

こんな、と続く言葉は掠れていた

血、血、血

呻き声はもう聞こえない

泣き声はもう聞こえない

どうしようもない想いが、ナーラの身体を駆け巡る

その悍ましさに、全身を掻きむしりたくなる衝動を必死に抑え、元凶を睨みつける

ただの少女ではない

―――悪魔だ

ナーラの視線に気づいた一体のアクマが、腕を振り上げる

「身の程を弁えろ!!」

既視感

それは遠い昔のことのようで、されどつい昨日のことのようで

微睡の中で見た夢

過去の罪

『ナーラ』

愛しい人の呼び声

こちらを呪う声

憎む声

恨む声

「―――ッ」

身体が固まり、避けることもできず―――

―――ぴたり

腕が紙一重の位置で止まった

「ノア様？」

驚いたような、困ったような声で、アクマが小さな主に声をかける

アクマの腕を止めたAは、可愛らしく首を傾げた

「ボクは気にしてないよ？」

憎悪も、懺悔も、悲鳴も、呪詛も

今のナーラは脅威にはなりえず、弱い虫がどれほど威嚇しようとも、Aにとっては嘲笑の対象である

「ねぇシスター、ボクたちの目的、本当に知りたい？」

知らない方が良いかもしれないよ？

それでもいいの？

大きな瞳がナーラを映す

Aはきょとりとした顔で、純粋な子供の顔で、ナーラに問いかける

「知りたいの？」

音もなく

知りたい

ナーラの口が形を作り、Aは悪戯の成功した子供のように―――

「ボクたちの目的はね、君のイノセンスの破壊だよぉ」

―――茶目っ気たっぷりに、舌を出して笑った

目的を告げられたナーラは、ただただ理解ができなかった

イノセンスとは何か

それを破壊するということは、物、ということか

ここにあるのか

それを探して、こんなことをしでかしたのか

困惑するナーラを見て、ロードがクスクスと笑う

「意味分からない、っていう顔だねぇ」

「あ、当たり前です…っ。イノセンス？破壊？どういうことですか!!」

ナーラの鋭い言葉に、傍にいたAの肩が小さく跳ねた

近くに控えているアクマも、目の前にいるナーラも気づかないほど些細な動き

その動きを認めたロードは、唇を舐める

どうしてやろうか、と考えた瞬間、隣から物凄い冷気を感じた

「いちいち説明する必要性はないので、簡単に言うと」

絶対零度の瞳で、スイラはナーラを見つめていた

思わずロードが苦笑するほどである