D.Gray-man ノアの一族でアレンの妹！？ (ページ23)

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第二十話　ページ23

ナーラは一気に階段を駆け下り、悲鳴のする方へ急ぐ

目的の場所は、先ほどまで居た、教会で最も広いあの場所

扉を開いて、視界に飛び込んできたのは

「な、に……。これは……」

血、血、血―――。

床に、壁に、椅子に、机に

辺り一面に飛び散った血と、至る処で倒れ伏す、たくさんの見知った姿

まだかすかに息があるようで、小さい呻き声が耳に届く

ふわふわと空中に浮かぶボールのようなものには、顔らしきものが付いている

得体のしれない何かが、徘徊している

地獄だ

ナーラの頭に浮かんだのは、その言葉

込み上げてくる何かを止めるために、口元を手で覆う

あまりの惨状に、足が震える

ジワリ、と涙が滲んだ

「あら、ヒロイン登場ですよ、ロード様」

「レベル上がったところだから、ナイスタイミングだねぇ」

この場に不釣り合いな声が二つ聞こえた

反射的に声の方へ顔を向けた

祭壇に座る黒髪の少女は笑顔を向け、その傍に立つ女性は冷たい目でナーラを見ていた

黒髪の少女の姿に、どこかで見たことがあるような、と考え始めた瞬間に、掠れた声が耳に飛び込んできた

「た、す……け…て…」

今にも消えてしまいそうなほど小さな懇願の言葉

少女と女性から無理矢理視線を逸らした先で、ナーラに手を伸ばす男性が見えた

妻に先立たれ、幼い子供２人を一人で育てている村人だった

傷だらけの男性を見た途端に、ナーラの足の震えは止まった

男性に駆け寄り、傷の具合を診る

酷い有様だった

何が起こったのか、聞きたいとは思わない

どれほど痛かったのか、知りたいとは思わない

目を背けてしまいたいほど傷ついた身体を、ナーラは丁寧に確認していく

「こ、こども……たち、が……ま、って…る……」

子供たちが待っている

だから、帰らなくては

死ぬわけにはいかない

子供たちの元へ、帰らなくては

「大丈夫、ですよ。必ず、あの子たちの元へ」

帰れますから

安心させるように微笑んで、意識を集中させ―――

―――ようと、した

「捕まえて!」

幼い子供の声が響き、ナーラは得体のしれない何かに動きを封じられた