..〃 ページ31
.
『すみませんでした、不審者だなんて言ってしまって…。』
ペコペコと頭を下げて許しを請う私。
オウル「2度あることは3度あるって言うからな。お前、俺のこと不審者呼ばわりしたの2回目。1回目を忘れてないとは言わせねェぞ？」
私の体にトドメの一撃のような言葉を投げられて返す言葉がなかった。
そう、滝澤さんがまだCCGに所属していた頃、私が嘉納の不動産へ行く前にメンタルがやられて落ち込んでいたことがあった。滝澤さんは励まそうと私の家に来てくれたのだが、その時の私は滝澤さんを不審者扱いしてしまったのだ。
『あの時はほんっっっとうに申し訳なかったです。そして今日も。まさか滝澤さんだなんて思わなかったから…。』
「ま、仕方ねーか。」なんて呟きながら病室に置いてあるベッドに腰掛ける滝澤さん。
会話が途切れ、重たい沈黙が室内を覆う。何を言っていいのか分からず、口をつぐんでいると、先に口を開いたのは滝澤さんだった。
オウル「なぁ。Aは俺を見てどう思った？」
ドキリと心臓が飛び跳ねる。単刀直入過ぎて、なんと返答したら良いのか分からず、俯きながら言葉を探した。
オウル「無理して言わなくてもいいけどよ。そして、この間はゴメンな、まさかササキじゃなくてお前に赫子を刺しちまうなんて。」
『大丈夫ですよ。まだ痛むけれど、医師からは大丈夫だと言われているので、あまり思い悩まないでください。』
数日前に琲世と交戦していた時の滝澤さんではなく、以前の滝澤さんに少し似ているような気がして微笑ましかった。
外見や言葉遣いは変わってしまったけれど、やっぱり滝澤さんの心は以前のままなのだと思い、胸を撫で下ろした。
オウル「そうか。それなら良かった。聞きたいことがあんだけどよ、金木研とAの関係は？あいつ、俺には関係ないみたいなこと言ってたからよオ。」
『琲世はただの同僚ですよ！琲世はクインクス班の指導者で、私は副指導者です。だからよく一緒に仕事をしているだけで…。ね？』
「そうかい。」と私の慌てる様子をチラッと見たあとに、ククっと喉を鳴らして笑う彼がとても懐かしく、〈以前の滝澤さんだ。〉と嬉しさで心が満ちた。
オウル「A。そういえば、CCGでは喰種を庇うのはNGってのは分かってるよな？」
『え？はい…。』
オウル「今回、お前はどっちを庇った？ササキか？俺か？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
檸檬だろう - 最近東京喰種を見て沼ったものなのですが、とっっっても面白いです！！政道君の良さが溢れててもう……本当に……良すぎて……体調にお気をつけながらまた更新していただけるといいな、と思っておきます！！！！ (7月2日 17時) (
レス) @page35 id: 36eb5f3518 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 続きがよみたいです！！ (2022年10月3日 22時) (レス) id: 4a2c317405 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - みぃさん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません。ありがとうございます！最近なかなか更新ができていませんが、少しずつ更新していきますのでどうぞよろしくお願い致します。 (2021年9月15日 14時) (レス) id: bdddc99c39 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - お忙しいなか更新ありがとうございます！！無理なさらないようにしてくださいね。 (2021年9月3日 1時) (レス) id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
さの。(プロフ) - まこさん» そうだったのですね！コロナワクチンお疲れ様でした。どうかご無理はなさらずに (2021年8月12日 12時) (レス) id: 8d3664e567 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まこ | 作成日時：2021年5月12日 11時
