【QK】王子様、誰を選ぶの！【izw】 (ページ32)

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魔女と呪いページ32

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思い出してね、なんて言っていたくせに。言った本人が忘れてどうすんだよ。ここにお前が来た時、やっと会えたって。思い出して追いかけてきてくれたんだって自惚れたのに。

初めてあったその時から俺はずっと魔女だって分かってたよ。わかってたのに何してたんだって言われたらそれでおしまいだけどさ、ちょっと言い訳させてよ。

怖かったんだよ、入ってすぐメンバーの目が変わってさ。俺じゃない誰かと、前世なんかに縛られず他の誰かと幸せになるべきなんじゃないかって。

結局さ、俺は前世から何年もずっとあんたのことしか頭にないんだよ。

あの晩だって心奪われる女性なんか現れなかった。福良さん、というかシンデレラが声をかけてくれていなければどうすればいいか分からず動けなかったと思う。

前世でも、今世でもこんなにも助けて貰っているのに。譲りたくなかった。福良さんが榊のことを、心から好きなのを分かっていても。取られたくなかった。なぁ、まだ遅くないだろ。相変わらずヘタレだよ俺は。

大魔女がかけた呪いが何なのか、分かってないけど。進めば何かが起こること、本当はとても怖いけど。

なぁ大魔女さんよ。何で呪いなんてかけたんだ。そうすれば俺が動かないとでも思ったのか?...半分正解だったな。

今世こそ、幸せになってくれとは思わなかったのか？思っているよな、その相手は俺じゃなくていいってことか。

俺なんかに大事は弟子は任せられないって？大事な弟子が欲しいならこんな呪い早く見破ってしまえって？その裏でできっこないって笑っているんだろ。

あのな、俺は前世とはもう違うんだ。世間体？視聴者？そりゃ大切だけど。全員に認めさせてやる。俺が愛しているのはこの人だって大きな声で言ってやる。

それだけの覚悟は出来た。1歩、進む勇気ももう出来た。...少し遅かったかもしれないけれど。榊も、俺の事思ってくれてる？....最後の最後まで情けない心の声でごめんな。

「魔法ね～...魔女なら使えるんじゃない？」

魔女、というワードを出してみるとぴくりと反応。自分が魔女ってことは気づいているんだ。じゃあ俺のことは？

「...なぁ、榊はさ、俺の事覚えてる？」

『急になんですか？』

なんだ、まだ思い出していないの？じゃあ思い出させるから。

「...魔女」

『.....え。』

俺はさ。なんて言いかけたその刹那目の前が真っ暗になって。

次目を覚ました時は、見慣れたオフィスの天井だった。