【QK】王子様、誰を選ぶの！【izw】 (ページ16)

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指先と言葉ページ16

your side

昨日の事件から一晩明けてやっぱり、意味がわからなくて。困ったな。今日どういう顔でオフィスに行けばいいのだろう。

押しのけて無言で帰っちゃったし。さすがに動揺しすぎたな。女の子にするのは慣れているけれど、されるのはまた話が別であろう。

顔を洗うために洗面所に向かう。鏡の中に映る顔、それはそれは酷い状態で。普段はあまりしっかりとしないコンシーラーが必要な顔面になっていた。

寝れなかったもんなぁと思いながらついでに少しピンクのアイシャドウを目じりに入れてみる。似合わないよな男顔だし。まあ、直す時間もないからこのまま行くんだけど。

大学を卒業して伸ばし続けた髪も肩に着くほどになった。メイクに合わせてせっかくだし、と髪を下ろして見る。それなりに女子っぽい？

ちょっとの不安から前髪をいじる手が止まらない。

『おはようーーー』

オフィスについて挨拶をする。そのまま自分の席についてパソコンを開く。

｢おはようございます～！今日デートですか！！｣

そう声をかけてきたのは山本さん。言われると思ったけどやっぱ気合い入ってるように見えちゃう？

『何となくだから！デートとかじゃないです～～！！』

｢似合ってますよ～！｣

『はいはい、ありがとう』

｢信じてないじゃん！｣

山本さんの言葉を流しながら相槌をしているとオフィスのドアが開く。わかりやすく心臓がはねた。

｢おはよ～ございまぁす｣

声の主は渡辺航平。昨日の今日でなんだか気恥ずかしい。私の方をちらりとみて近づいてくる。

｢おはようございます Aさん｣

『おはよこうちゃん』

｢なんかそっけない？｣

『はぁ？』

｢あ、今日の髪型とかメイク可愛いですね｣

『それはどうも』

｢照れてるの？｣

『照れてねえわ』

口悪ぅと言いながら席に戻るこうちゃん。そんなやり取りを見ていた山本さんが何かあったの？と聞いてくる。さすがに言えないでしょ。と思って濁しておく。

｢昨日ご飯行ってましたよね｣

鋭いなぁ。そうですよ。ご飯に行きましたよ。

｢今日は僕と行きましょうよ、せっかく可愛いカッコしているんだしでーと！｣

『え、私財布の中もう1000円もないから無理。』

｢奢りますよ｣

『後輩に奢られたくない！』

｢えぇ...｣

なんだかなんとなく嫌な予感がしたから断ってみる。なんもないとは思うけどさ、前世がどうとかって、結構あるみたいだし。