アールグレイ5 ページ21
your side
とてもふわふわしていて頭の中に2人私がいるような感覚に陥る
山本さんがここに座って待っててって言うから大人しく言うことを聞く
夜の公園は昼間のジメッとした暑さと違い 風が少し肌寒い
アルコールで火照った体にはとても相性が良かった
草むらから虫の声 遠くの道路から人の声 風が木を揺する声。
心地よくってなんだか眠りそう
ウトウトしていると頬にあたる冷たい感覚に思わず飛び跳ねた
｢漫画みたい｣
そんな様子をみて山本さんは乾いた笑いを出した
『あと少しで寝れそうだったのに』
｢こんな所で寝るつもりだったの？｣
山本さんはとても自然に私の隣に座った
大きくない公園のベンチに大人二人で並んだらそれなりに近い距離感
まつげ長いなぁ
｢ん、お水飲みな？｣
『優しい』
｢普通でしょ｣
『タバコの種類は教えてくれないのに？』
｢調べればわかることはわざわざ言わないだけ｣
ありがとうございます、と彼の手から水を受け取る
それを一気に飲んで体の中を冷たい水が巡るのを感じる
頭が少し、スッキリした気がした
『山本さん、迷惑かけてすみません』
ちょっと酔いすぎました、と付け加えると目を見開いたあと少し笑って微笑んだ
少し、高鳴る鼓動を無視しながら正面を向き直し風に揺れる木を見つめる
数分沈黙が続き さらさらと風が頬を撫でていた
｢なんで猫かぶりしているの｣
唐突な質問をする彼の方を向くと彼はこちらを向いておらず私と同様木を眺めていた
これは、独り言だろうか。質問だろうか。
迷って答えあぐねていると同じトーンで少しゆっくりと彼がまた話し出す
きっと、私に話しているのではなく私を通してどこかの誰か、もしくは自分に語りかけているのだろう
あなたの中に私は今、いない。
すっと酔いが覚めて彼の言葉に耳を傾ける
初めてあったあの時の声とおなじでとても落ち着いて、でもそれがなんだか嫌で、でもこの気もちを言葉にする語彙力を持ち合わせていなかった
｢なんでだろうな、僕元々大人しい子供でさ、教室の隅で本読んでるタイプだったんだよね｣
｢僕が変わったのはクイズと出会ったからなんだよね、全然クイズ知らないのに高校生クイズに出てさ。｣
過去のことを話し出す彼 私はただ黙ってそれを聞いている
背の低い僕を見て可愛いねと言ってくれた人がいたこと その人が僕のクイズ人生を作ってくれたこと もうここにはいないこと
色々なことを教えてくれた
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やまだ はなこ(プロフ) - Komeさん» ご指摘ありがとうございます！お恥ずかしい！！直しました、、 (2020年10月30日 8時) (
レス) id: 42b7c3a68c (このIDを非表示/違反報告)
Kome - 細かいですがprologueですよ。面白いです。 (2020年10月30日 6時) (レス) id: 86c7210f95 (このIDを非表示/違反報告)
やまだ はなこ(プロフ) - 大木さん» 読んでいただきありがとうございます！紅茶王子知ってる方に出会えて嬉しいです！構想練ってみます！ありがとうございます！ (2020年10月28日 15時) (レス) id: 42b7c3a68c (このIDを非表示/違反報告)
大木(プロフ) - とても面白かったです。紅茶が好きで、わかるなぁとおもいなから拝読させていただきました。紅茶王子パロをもし作成されるならそちらも是非読みたいなと思います。 (2020年10月26日 21時) (レス) id: cd0c7018a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やまだはなこ | 作成日時：2020年6月12日 21時
