あの夏が飽和する。【轟焦凍】 (ページ5)

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機械音が頭のなかをこだました

枕元を探っていたら、目覚まし時計が落ちたのかゴトンとすごい音をたてた

俺はその音に飛び起きる

時刻はぴったり４時３０分だった

リュックを取りだし、中に財布を入れる

そしてこの前クラスメートからもらったナイフを入れた

死ぬのなら、これがちょうどいいだろうと思った

そのまま入れるとリュックが切れてしまわないか心配になったので、元々しまってあった木の箱ごともっていく

一応携帯ももっていこうと、リュックの小さな外ポケットに入れ、チャックを閉める

ふと、目にはいったのは子供の頃に撮った家族写真だった

ずっとみたくなくて、伏せておいてあった

見たくないならしまってしまおうと、何度思っただろうか

でも、もう必要ない

俺はとうとう、写真を机の引き出しの奥へとしまった

帰ってくる気はなかった
俺もあいつとともに、死んでしまうつもりだった

きっとその方が楽だと思ってしまった

そっと家を出る

音をたてずにゆっくりと

外は昨日の雨のせいか、湿気もあり、少し寒かった

入れておいてよかったと思いながら、何かあったらと入れたパーカーを早速取りだし、羽織った

公園にはすでにAがいた

ブランコに腰をかけ、ぶらぶらと揺れている

俺に気づいたのか、Aはにっこりと笑みを浮かべ、行こうかと言った

人殺しとダメ人間

世界からのけ者にされた二人の影が、まだ薄暗い道にのびていた