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シモンと名乗る男は、すらりとした身体に、ベストスーツを着こなす、いかにもな紳士だった。が、しかし、掴まっているので当たり前だが、服も顔も栗色の髪の毛もボロボロだった。
整えられていたのだと推測できる髭も、こんな状況で手入れができないのか、無精髭を生やしていた。それでも整った顔をしていたので、幾何かマシだったが。
「お名前をお伺いしても？ マドモアゼル」
彼も後ろ手に縛られているようだったが、恭しく跪いて頭を下げながらそう尋ねてきた。
まだ15歳なので、こんな淑女みたいな扱いをされたことがなくて、緊張してしまって体が強張る。
掴まってるってことは敵ではなさそうだし、名前を教えるくらいなら支障はないだろう。
そう判断し、Aは彼につられるように慌てて正座をして背筋を伸ばす。
「わ、私はAといいます。あの、シモンさんはなんでこんなところに…？」
「えぇ、それをお話せねばならないようですね…。
私がここに連れてこられたのは一年ほど前。
ある事件によって、私はあの海賊たちに捕えられてしまったのです」
シモンは同じように膝を畳んで座り、Aと向かい合った。
彼の手錠は鎖でつながれてはいないようで、自由に動き回れるようだったが、まぁ動き回れたところでこの檻から出ることは出来そうにない。
一年前、ある事件、気になる単語に、Aはふと考えこんで一つの可能性に行きつく。
この身なりと丁寧な言葉遣い、それにこの島で、一年前に起こった一番大きな出来事。
「シモンさん、あなたってもしかして、この島の前の領主さんですか…？」
その言葉を聞くと、シモンは大きく目を見開いた。
「…えぇ、その通りです。私は以前、この島を治める領主を務めておりました」
「でも、ジークフリートに政権が変わってから、亡命したって…」
「…島を捨てて逃げることは、私にとって苦渋の選択でした。
ですが情けないことに、島から逃げ出す途中、ジークフリートが雇った、あの海賊に捕えられてしまったのです」
それからずっとここに、とシモンは肩をすくめた。
「部下や秘書たちは密かに逃げる手段を整えてくれたのですが、その努力もむなしく…本当に不甲斐ない…」
「その人たちは、今どこに…？」
「おそらく、ジークフリートの下についていると思います。そうするしか、身を守る方法がありませんから」
そう言うとシモンは、心配そうにドアの向こうを眺めた。
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弥生(プロフ) - ブルーフェザーさん» ありがとうございますー！今ちょっとネットがない環境にいてコメント返信しか出来ない状況なので気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年4月17日 10時) (
レス) id: 0bb29c5719 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2021年4月14日 6時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！！評価トップバッター嬉しいです…！ (2020年12月13日 19時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - 祝、続編です！！ひとつめの高評価入れさせて頂きました。これからも頑張ってください！ (2020年12月12日 23時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年12月12日 23時
