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「おいベポ。何があった」
「はっ、キャプテン…！」
俯いていたベポが顔を上げる。うるうると目に涙を浮かべながら、震える声でローを呼んだ。
「お前、Aに何があったか知ってるんだろう？ 話せるか」
「う、うぅ…A…俺のせいでぇ…」
「泣いてちゃ分からねェ。何があったんだ」
うわーん、と泣きながら、ベポが何かを大事そうに握り締めていた。
青リンゴとリンゴを半分ずつくっつけたような不思議な実に、齧ったような跡があるもの。
＿＿まさか、この実を食ったからか？
「ベポ、あいつはこれを食ったのか？」
木の実を指さしてそう尋ねると、ベポはえぐえぐと嗚咽を零しながらも頷いた。
なるほど、と呟いて思考を回転させる。
「これが何の実なのかわかれば、何かできるかもしれねェな」
「船長、Aが前の島で買ってた本に載ってるかもしれないっすよ」
ペンギンがそう告げる。
「それは何処にある」
「薬草庫の本棚にAがしまってたような…」
「それだ。行くぞ」
ローはベポの傍にしゃがみこんでいたが、すくっと立ち上がってペンギンを引き連れ、足早に薬草庫のほうに歩いて行った。
・
「これだ。『偉大なる航路の前半海域における樹木及びその果実大全』」
Aの私物の本や、共有物の書物が並んだ棚の中にあった、比較的新しい本を開く。
見たことのない果実や樹木の写真や写生が並んでいる。
ぺらぺらとページをめくり、ベポの持っていたものと似た果実を探す。
すると、
「あった、恐らくこれだろう」
見つけたページを開き、部屋の中央に置いてあるテーブルの上に、どしんと乗せる。
それを覗き込むようについてきたペンギンと二人でページに見入った。
「『サカサマの実』？ 変わった見た目っすね。ツートンカラーだ」
「味は通常の林檎と変わらないみてェだが……『食べた者の性質を、当人と正反対に変える』、『効果は、約二十四時間。但し食べた者によって効果時間には個人差がある』…」
「…Aとは相性最悪の実だな…」
二人して、部屋の真ん中で、大きくため息をついた。
まさかあの、お人好しの模範のようなAが、そんな実を食べてしまうなんて。
最悪の状況が約二十四時間も続くのだということを、甲板で待つクルーたちに伝える為、ローとペンギンは、彼らのもとへ向かった。
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弥生(プロフ) - ブルーフェザーさん» ありがとうございますー！今ちょっとネットがない環境にいてコメント返信しか出来ない状況なので気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年4月17日 10時) (
レス) id: 0bb29c5719 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2021年4月14日 6時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！！評価トップバッター嬉しいです…！ (2020年12月13日 19時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - 祝、続編です！！ひとつめの高評価入れさせて頂きました。これからも頑張ってください！ (2020年12月12日 23時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年12月12日 23時
