四十一話:偉大なる航路へ ページ38
船がリヴァースマウンテンを流れる運河を上り、ついに偉大なる航路に入った。
船頭多くして船山に上る、なんて言葉があるけれど、まさか本当に山を船で登ることになるとは思わなかった。ので、不思議な感覚だったが、このポーラータング号は、大陸の岩盤をぶち割った船だ。怖くなんてなかった。
「ここが、偉大なる航路…」
甲板の縁から、海を眺める。北の海と景色はさして変わらないけど、気候が全然違う。
暖かくて気分のいい陽気だ。
偉大なる航路は危険なところだと聞いていたからかなり気合を入れてはいったのに、拍子抜けだ。
「んでそれが、記録指針か。確か、磁場が滅茶苦茶なんだろ？」
ベポの手の中にある、不思議なガラス玉の中に針が入ったもの。見た目はちょっと変わったコンパスに見えるが、これが重要なアイテム。
偉大なる航路では、普通のコンパスじゃ、正しい方角がわからない。島々がそれぞれに強い磁気を放っているから。
だから記録指針が必要。この特殊な羅針盤が島の磁気を記憶し、次の島へと一歩一歩進んでいく。それが偉大なる航路の進み方。
「にしてもキャプテン、よくそんなに偉大なる航路のこと知ってるな。俺、記録指針のこと知らなかったから、手に入らなかったら最初の島に辿り着くどころか、もしかしたら凪の帯に入っちゃってたよ」
「…まぁ、昔色々とな」
意味深な彼の言葉にクルーたちは首を傾げたが、それを尋ねる前に、突然、ベポが叫んだ。
「みんな！ 前方からでっかい雨雲！ 帆を仕舞ってくれ！」
ベポの言う方向を見つめれば、巨大な、灰色の雨雲が迫ってきていた。
さっきまでぽかぽか陽気だったはずのあたりの空も、薄暗くなっている。極めつけに、あの雲、雷を帯びている。
「ベポ、一旦潜水だ！ おいお前ら、急げ！」
「「アイアイキャプテン！！」」
やはり、ここは偉大なる航路。
右も左もわからない。目の前に現れる波を越えるのでさえ精いっぱいだ。
でもだからこそ、この海は面白い。
焦る気持ちと、それを覆うほどの高揚感。
武者震いにも似た体の震え。
ローは体に降りかかる大雨に濡れながら、にやりと笑みを浮かべて見せた。
＊
もうちょっとイチャコラさせてもいいですが、そろそろ原作に追いつこうと思います。
小話をちょこっとだけ挟んで、シャボンディ諸島編にゆきます。
そう言えば最近気づいたのですがワダツミって既に原作にいますね。なんてこったパンナコッタ。
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弥生(プロフ) - ブルーフェザーさん» ありがとうございますー！今ちょっとネットがない環境にいてコメント返信しか出来ない状況なので気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年4月17日 10時) (
レス) id: 0bb29c5719 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2021年4月14日 6時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！！評価トップバッター嬉しいです…！ (2020年12月13日 19時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - 祝、続編です！！ひとつめの高評価入れさせて頂きました。これからも頑張ってください！ (2020年12月12日 23時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年12月12日 23時
