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「けどまぁ、とろとろやってたらじいさんがくたばっちまうな」
ローが微かな声でそう呟く。
「ん？ なんか言ったか、キャプテン」
「なあベポ、お前、もう自分の航海術には自信があるか」
「え、えっと…お、おう！ あるよ！ 嵐や大波もなんのそのだ！ ずっと毎日勉強してきたんだ。自信、あるよ！」
ベポはローの突然の問いかけに一瞬戸惑ったが、そのモフモフの手をキュッと握り、強く前を見つめてそう言い切った。
その言葉に、ローはふっと意味深な笑みを浮かべて、ゆっくりと口を開く。
「そうか、じゃあ頃合いだな」
「え、なんの？」
その問いかけに答えることなく、彼は黙ったまま立ち上がって、舳先の方へ向かう。
クルーたちはそれに気づいて酒を飲む手を止め、彼の方に目を見やった。
「おいお前ら！ 次の目的地を決めたぞ」
「で、何処に向かうんだよキャプテン！」
「どんなところだってついていくぜ！」
皆、高揚した気分を、各々声に出して叫ぶ。
すると、ローはにやりと含みのある笑みを零し、
「"偉大なる航路"だ」
彼の出したその目的地の名前に、クルーたちは驚きの声をあげた。
それはもう、船中を包み込むくらいの大きな叫び声で。
「ほ、ホントに！？ 本気で偉大なる航路に行くの！？」
「なんだA、ビビってんのか？」
驚嘆のあまりそう叫んでしまったAを、挑発するようなローの表情に、彼女はむっと口を曲げる。
「ビビってなんかない！ ついて行くって決めたの！」
昔より随分と開いた身長のせいで、彼をじろっと睨みつけると、どうしても下から見上げたような形になってしまう。まるで大型の猛獣に挑む小動物だ。
そんな彼女の顔を見て、ローは緩みそうな頬を何とか抑え、ぽんっとその頭の上に自分の掌を乗せた。
「上等だ。遅れんなよ」
そしてゆっくりと海の向こうを見つめた。
＿＿コラさん、聞こえるか。これが俺の今の仲間だ。
「帆を上げろ！ "ハートの海賊団"、出航だ！！」
「「「おぉっ！！」」」
彼の合図で、船はゆっくりと進んでいく。
その船が向かう先は、偉大なる航路の入り口があるという、リヴァースマウンテン。
きっとこの先の冒険を乗り越えた果てに、「本当の自由」が待っている。
「見ててくれよな、コラさん。あんたの本懐は、絶対に俺が遂げて見せるから」
ローの呟きは、波の音に搔き消えた。
彼が抱いた夢の終わりは、まだ遥か先にある。
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弥生(プロフ) - ブルーフェザーさん» ありがとうございますー！今ちょっとネットがない環境にいてコメント返信しか出来ない状況なので気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年4月17日 10時) (
レス) id: 0bb29c5719 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2021年4月14日 6時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！！評価トップバッター嬉しいです…！ (2020年12月13日 19時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - 祝、続編です！！ひとつめの高評価入れさせて頂きました。これからも頑張ってください！ (2020年12月12日 23時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年12月12日 23時
