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「俺、おっきくなったら海賊になる！！」
ずっとうつむいたままのシノが、いきなり顔を上げてそう叫んだ。
きょとんとしていると、彼はAの顔を見つめて、強い瞳で口を開く。
「ローよりも強くなって、ハートのみんなよりももっと強い仲間を集める！
それでいつか、Aを惚れさせてやる！ だからその時は、俺の船に乗ってくれ！！」
「んなっ…！！」
小さく目を見開いたAの後ろで、ローが面食らう。
「おいっ！ シノ、ふざけん＿＿」
彼が怒りを孕んだ声で近づいて来ようとするのを、Aは振り返って人差し指を唇にあてがい制止する。
顔をひきつらせた彼は、渋々その場にとどまった。
「じゃあ、シノくんが強くなれるおまじないかけてあげる」
にこりと柔らかく微笑んだAは、自然な流れで、シノの前髪をかきあげて、
彼の額に唇を落とした。
その瞬間、あたりに歓声が起こる。
船の上からはもてはやすような声が飛んできて、町の人たちは驚いたり、拍手したりと、賑やかな声に包まれる。
傍ではハレが目を輝かせていた。
「じゃあ私もなる！ 海賊！！」
「んふふ、ハレちゃんもいつか強くなって海においで」
「うん！」
幸せそうな三人の後ろで、あからさまにイライラしている男が一人。
腕を組んで、不機嫌な顔を隠そうともせず、睨みつけるような目線で三人、主にシノを見つめている。
そんな彼をちらりと見つめて、Aは小さく吹き出して笑った。
そしてすくっと立ち上がって、シノに微笑みながら口を開く。
「でも二つ目のお願いは聞いてあげられないよ」
「えっ…？」
シノは吃驚としてAを見上げる。
彼女は、手を後ろで組みながら、満面の笑みを浮かべる。
「私の船長はね、この世でたった一人だけだから！」
Aのその言葉は、この上なく最悪だったローの機嫌を一瞬で塗り替えてしまう。
＿＿＿本当に、お前は…
にやけそうな口を見せまいと手で覆っていると、彼女はパシッとローの手を取って船の方へ走り出した。
「行こっ！」
どたどたと二人が船に乗り込むと、ベポがゆっくりと船を動かしはじめた。
遠くで海鳥が鳴いて、爽やかな朝の光が、彼を白く照らしていた。
町の人たちが大きく手を振っている。
クルーたちも笑顔で振り返す。
さよならは言わない。
きっとまた彼らと出会うことを信じているから。
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弥生(プロフ) - ブルーフェザーさん» ありがとうございますー！今ちょっとネットがない環境にいてコメント返信しか出来ない状況なので気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年4月17日 10時) (
レス) id: 0bb29c5719 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！ (2021年4月14日 6時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！！評価トップバッター嬉しいです…！ (2020年12月13日 19時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - 祝、続編です！！ひとつめの高評価入れさせて頂きました。これからも頑張ってください！ (2020年12月12日 23時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年12月12日 23時
