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「…ハレちゃんの容体は？ どれくらい酷いの？」
「ここ最近ずっと、熱が下がらないんだ…いつも、無理するとすぐに苦しそうに倒れちゃうし…俺、何もできないっ…お兄ちゃんなのに…！」
ぽろぽろ、涙をこぼして、もう拭うことも忘れたままシノは絞り出すように叫んだ。
「父ちゃんがあんなんになっちゃってから、母ちゃんもお金を稼ぐために死んじゃって…
もう俺、どうすればいいかわからないんだ…！」
「おいシノ」
突然、ずっと黙っていたローがそう口を開いて、シノは涙を目尻に溜めながら彼を見た。
手を組んで膝に肘をつき、シノの背に合わせるようにして身を屈めたローは、相変わらず怖い顔のまま
「詳しく聞かせろ」
やる気を出したのか、シノの境遇に同情したのかは定かではないが、ローはシノに協力する腹積もりのようだ。
その目に何かを感じたのか、シノは先ほどまでずっとつんつんしていた態度から一転、泣きそうな声を抑えて素直に頷いた。
シノの言う「あいつら」はやはり海賊のようで、
その海賊たちが「幸せになれる薬」なるものを島の人々に高額で売りさばいているのだという。
シノはそれがあれば妹の身体も良くなる、元気になる、とそう思っているようだった。だから、父に黙って、先ほどまでハートの海賊団が停泊していた島に、商船に紛れ込んで渡り、またあの島に戻るために今度はこの船に乗って帰ろうとしていたのだと。
でも結局その「幸せになれる薬」は見つからなかった。島では、金さえ払えば簡単に手に入る。だが、それは5歳の少年が払うには高額すぎる値段だった。そこで、もっと安く手に入るとふんで、さっきの島に向かったが、無駄足だった、と嘆いていた。
シノの父は、救うべき妹のためにその薬を買うことはなく、自分でその薬を使ってしまい、いつの間にか仕事も真面目にしなくなって、薬がなければ感情的になり、暴力を振るうようになった。母はシノたちを養おうと必死で働いたが、もとより貧困層の家柄だったようで、賃金は少なく、その金ですらも父は奪い取って自分の薬の為に浪費してしまう。そのうえ、父の暴行は主に母に向けられて、
そうして彼の母は、過労で亡くなったらしい。
「あいつらが、薬をあんなに高く売るから…だからハレの病気も治んないんだ！ 薬があれば、ハレは助かるかもしれないのに…これじゃあハレが死んじゃうよ…！
そんなの嫌だ！ 大事な妹なんだ！」
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弥生(プロフ) - ももりーのさん» CV神谷浩史です笑 (2020年12月11日 18時) (
レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
ももりーの(プロフ) - 唐突なローランドにわらいました笑笑 (2020年12月10日 0時) (レス) id: 20ef572ecd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 桃さん» コメントありがとうございます！あまりお待たせしないように頑張ります！！ (2020年12月7日 23時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます！新しく連載された方も読みました！どちらもお気に入り登録して楽しみに待ってます！！頑張ってください！ (2020年12月6日 14時) (レス) id: fd04f6af33 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！とても励みになります！！ (2020年12月2日 16時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年11月27日 2時
