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「わっ、ちょっと!!」


さっきのワダツミと同じようにひょいっと少年を持ち上げて、ローはじろりと睨みつける。
涙目の少年を顔の前に近づけ、鬼の形相で口を開いた。



「おいクソガキ、テメェ、どっから入り込みやがった」


「う、うううぅっ…はなせえぇ!」


「うるせェ、俺に命令するな」


「うるさいのはそっちだ! ばーか!」



ローはまるで子供のように暫くその少年とにらみ合っていたが、すぐに軽く舌打ちを鳴らし少年を放り投げた。
面食らって、Aが慌てて少年をキャッチするように抱きしめると、すっぽりと腕の中に納まる。


「こらっ、ロー! 危ないでしょ!」



ローに向かってそう叱ると、彼は悪びれる様子もなくツーンと顔を逸らす。
すると少年はぐすっと鼻をすすり、ローを睨みつけて彼女にしがみつき、そっぽ向いてしまった。



「おいA、小舟を出せ。そのガキをさっきの島に返す」


「えぇ……、でもこの子一人でさっきの島まではいけないんじゃ…」



「んなガキに同情するんじゃねェよ。誰かの手先だったらどうすんだ」


「話ぐらい聞いてあげようよ。決めるのはそれからでも遅くないんじゃない?」


ね、と宥めるように笑うと、ローは大きく深いため息をついて、顎でくいっと船内を指すとそのまま何も言わずに歩きだしてしまった。
ついてこい、とそういう事だろう。


「まったく…」


軽く吐息を零すと、Aは少年をしっかりと抱きしめて、クルーに一言声をかけてからローの後を追いかけた。








ローは談話室のソファーに座り、むすっとしながら正面に座る少年を睨むように見つめている。そしてローの隣に苦笑いを零しながら座っているA。
少年の傍にいてあげようと思ったらローに引っ張られてこのざまだ。


…なんだか子供二人を相手にしている気分だ。

そしてローの後ろにはベポが心配そうな顔で立っていた。
モフモフがいれば心が落ち着くかもしれないというAの提案でだが。



「で、テメェは何者だ」


ローはぶっきらぼうにそう尋ねて、小さな少年を上から睨みつける。
すると少年もまたぶすっと唇を固く結んでローを睨み返し、べーっと舌を出した。


「こんのクソガキ…」


ぴくぴくとこめかみを動かし、青筋を立てて口の端を引きつらせているローを、何とか宥めて
Aは出来るだけ少年の背に合わせるようにして身を屈め、口を開いた。


「名前はなんて言うの?」






「お、俺の名前は、シノだ!」

二十三話:シノ→←・



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弥生(プロフ) - ももりーのさん» CV神谷浩史です笑 (2020年12月11日 18時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
ももりーの(プロフ) - 唐突なローランドにわらいました笑笑 (2020年12月10日 0時) (レス) id: 20ef572ecd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 桃さん» コメントありがとうございます!あまりお待たせしないように頑張ります!! (2020年12月7日 23時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます!新しく連載された方も読みました!どちらもお気に入り登録して楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: fd04f6af33 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます!とても励みになります!! (2020年12月2日 16時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弥生 | 作成日時:2020年11月27日 2時

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