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つう、と頬に何かが伝った。
汗でもかいたのか、とごしごし拭うが、次から次へと流れてきて
それが涙だと気付くのに時間がかかった。
慌ててそれを思い切り拭って、誤魔化すように湯船から立ち上がる。
髪の毛を乾かして、もう寝ようかとも思ったが、今日は眠れそうにない。
風呂上がりの、寝間着のまま、サンダルを履いて玄関から外に出た。
いつもローたちと稽古をしていた場所へ行って、ぼうっと空に浮かぶ月を眺める。
そのままストンっと地面に座り込んだ。
時折吹き込む風が、火照った身体を冷ましていく。
少し寒すぎるから、体が冷えてしまうかもしれないけれど、でもしばらくこうしていたかった。
また涙が溢れてきてしまいそうで、家の中に戻りたくなかった。
・
「なぁローさん、…本当にいいのか？」
どんちゃん騒ぎをして夜更かしをしていた時、ふいにペンギンがそう呟いた。
言わなくてもわかる、Aのことだ。
「ああ…もう済んだことだ」
寂しそうに呟いたローの声に、三人は少し顔を歪めたが、
それ以上何も言わなかった。
時計の針がてっぺんを指したころ、ローたちは部屋の明かりを消し、そのまま床に就いたが
なかなか寝付けない。明日が出航の日ということもあるが、やはりAのことが気にかかる。
＿＿もういっそのこと、無理矢理さらってしまおうか。
そんな、頭に浮かんだ考えを振り払うように首を振った。
少し頭を冷やそうと布団から出て、ベポを起こさぬように足音を消して、静かに部屋を出た。
水でも飲もうと一階へ行くと、ふと玄関が目に入る。
サンダルが一つ、なくなっている。
「…A？」
がちゃ、と玄関を開けて外に出ると、遠くにAが座っているのが見えた。
少し冷え込む夜だった。みれば彼女は随分と薄着で座り込んでいる。
スタスタと歩いていくと、耳のいい彼女はこちらに気付き、静かに振り返った。
「ロー、寝ないの？ 明日はやいでしょ？」
柔らかく笑った彼女は、何処か弱々しくて、目尻が少しだけ赤くなっていた。
自然な流れで、彼女が座る隣に腰を下ろす。彼女は何も言わずにただ遠くを眺めていた。
初めて出会ったときより、彼女も自分も、随分と成長して、大人びてきた。
伏せられた長いまつ毛に縁どられた焦げ茶色の瞳は微かに潤んでいて、真っ白な肌も、きらきらした銀髪も、彼女の整った顔立ちに映えていた。
気付けば、彼女の頬へと手が伸びていた。
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弥生(プロフ) - ももりーのさん» CV神谷浩史です笑 (2020年12月11日 18時) (
レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
ももりーの(プロフ) - 唐突なローランドにわらいました笑笑 (2020年12月10日 0時) (レス) id: 20ef572ecd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 桃さん» コメントありがとうございます！あまりお待たせしないように頑張ります！！ (2020年12月7日 23時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます！新しく連載された方も読みました！どちらもお気に入り登録して楽しみに待ってます！！頑張ってください！ (2020年12月6日 14時) (レス) id: fd04f6af33 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - めぐちさん» ありがとうございます！とても励みになります！！ (2020年12月2日 16時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2020年11月27日 2時
