【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ6)

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二匹の魚をメスで血抜きして内臓を取り除き、入り口に散らばっていた木の枝を口から刺し、もう動かなくなったそれらをまた樽の上に置いた。

そして少年はもう一本の木の枝の先に、また糸を括り付けてくるくるとねじり、それを木の板に垂直に立てて、糸を引っ張っては反動をつけて戻し、引っ張っては戻しを繰り返した。
すると摩擦で熱が加わり、木の板からじりじりと煙が上がり始める。
ポーチを探り小さな紙を取り出すと、その紙に木の板の火種を乗せ、何回か息を吹きかけると、火種が少しずつ大きくなり、かき集めてきた木の枝にそれを放り込むと、見る見るうちに焚火が出来上がった。

「すごーい！キリモミ式だ！手慣れてるねぇ」

目を輝かせて少年と焚火とを交互に見ながらAは小さく手を叩いた。
少年は口元を小さく緩ませながらも、それを悟られまいと緩む頬の筋肉を必死に抑えながら、用意した魚を火で炙った。

魚が焼けるのを待つ間、焚火に手をかざすと、ぽかぽかと温かい。たまに火花が爆ぜることでパチッと音が鳴る。
明るくなったことで暗い洞窟の中でも少年の顔が良く見える。

血色が悪く、少し青白くも見える上に珀鉛病の白い斑点も手伝ってか、相当具合が悪そうだった。彼の身体はやはりまだ冷めきっているようだ。
いつの間にか外してポーチに仕舞っていた手袋をはめ直すと、少年は身を寄せて、きゅっと襟巻に顔うずめた。

「腕、怪我してるの？大丈夫？」

ふと眼を見やると、少年の左腕には大雑把に包帯が巻かれていた。少し血が滲んでいるようにも見える。

「別に、これくらいなんともねぇよ」

Aからそれを隠すと、ぶっきらぼうにそう吐き捨てて、少年はそのまま黙ってしまった。
彼女は、そっか、とだけ呟いて同じように焚火がゆらゆらと揺れるのを見ていた。

暫くすれば香ばしい匂いが漂ってきて、魚の表面がいい具合に焼けてきた。
相当お腹が減っていたのか少年はすぐに魚に手を伸ばし、大きく口を開けてかぶりつこうとした。

が、

次の瞬間、少年はうめき声をあげ、手に持っていた魚を地面に落としてしまった。
それから崩れ落ちるように倒れて、少女は面食らい、慌てて少年の傍に駆け寄り背中に手を添える。

「ちょ、大丈夫！？」

苦しそうに短い呼吸を繰り返して、汗でびっしょりになり、後ろに倒れ込みそうになったのを間一髪で背中を支える。

「くそっ！」

少年は地面に強く拳を叩き付け、悔しそうにそう叫んだ。