【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ48)

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九話:プレジャータウンへページ48

「明日、全員でプレジャータウンへ行くぞ」

ある日の夕食後、ヴォルフが唐突にそう切り出した。真面目な顔つきで言うので冗談で言っているわけではなさそうだ。
驚いて口をポカンと開けている四人を前に、ヴォルフは淡々とした口調で続ける。

「前に約束したのを覚えているな。ワシとAの手伝いだけでなく、町でも仕事についてもらうという話だったはずじゃ。お前たちがここへ来て二か月以上が経った。そろそろ約束を守ってもらおう。あくまでワシらの関係はギブアンドテイク。この先もここで暮らすのなら、ちゃんと家賃と食費は払ってもらうぞ」

あまりに冷たい言いぐさだったので、Aも驚いて文句を言おうと椅子から立ち上がろうとする。

ふとそこで思い出した、ヴォルフの言葉が頭の中に響く。
お前は何もするな、と。

＿＿まさか、これの話？

確かにヴォルフの言うことは道理だ。
この老人には、彼ら四人をまとめて養う義理なんてこれっぽっちもない。けれど今面倒を見て、家を提供し、彼の畑で育った野菜や、町で買ってきた食材を食べて生活している。
その金はもちろん彼の研究品やAの薬代から出ているわけで、その分を支払えと言い張るのも何らおかしい事ではない。

だけど、四人はまだ子供じゃないか。親もいない、身寄りもない、頼れる大人もいない。
そんな子たちに、そこまで酷いこと言わなくたっていいのに。

四人を見ると、何処か怯えた眼をしていた。
町に行くのが怖い、そう言わんばかりに。

大丈夫だよ、そう声をかけてあげたい。町の人は優しいから、あの町の人たちはみんなを虐げるような人たちじゃないから、そう説得してあげたい。

でも、ヴォルフに睨みつけるような目で見られて委縮してしまう。

「ワシはもう寝る。明日の朝、食事をとったらすぐに出るからな。A、お前ももう寝ろ」

そう言って腕を引かれ、そのまま沈んだ空気の中で押し黙る四人をリビングに残し、A達はその場を出て行った。

「ちょっと、ヴォルフさん。なにもあんな言い方しなくても…、町の人たちは優しいから大丈夫だって言ってあげればいいじゃん」

トントンと階段を上がるヴォルフの背に向かってそう声をかけると、
ふんっと鼻を鳴らす音が聞こえて彼は喋り出す。

「それを言ってもガキどもは信用せんじゃろう。あのまま、他人に怯えたままじゃな」

「そりゃそうだけど…」