【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ41)

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八話:共同生活ページ41

恩人のコラソンの言う「自由」の意味を考える。
自分もベポも、シャチもペンギンも、おそらくはAも、この世界でどうしようもない孤独を味わって、それでも今絶望を乗り越えてここにいる。

本当の「自由」の意味はまだ分からない。

だけどこの不思議な六人での生活は、何処か居心地が良い。
きっとヴォルフが自分らを、子供ではなく、対等な人間として接してくれるからなのかもしれない。

ここにいれば、ここで六人で暮らしていくうちに、コラソンの言いたかった「自由」が何なのか、見つけられるかもしれない。
根拠も何もないけど、確信があった。

この奇妙な共同生活の先に、求めているものと巡り合えるような、そんな確信が。

そう考えれば、

＿＿この世界も、存外悪くない。

喧しく騒ぐ四人と、彼らを見て楽しそうに笑っているAを見て、ローは微かに口元を緩ませた。

・

「ペンギン、テメェ！そのワニ肉は俺のだろ！」

「知らねェよ！こんなのは早いもん勝ちだ！」

「ちょっと待てよ！ペンギンもシャチも三切れずつ食べてるだろ！俺まだ二切れしか食べてないぞ！この家ではお前らの方が新入りなんだから、ちゃんと俺を立てろ！」

食事の時、特に夕飯は騒がしい。
大抵はシャチとペンギンとベポが三人で食べ物の取り合いをするからなのだけど。

「もー、喧嘩しないの。まだあるから持ってくるよ」

育ち盛りの少年らと無駄に元気な老人のブラックホールの如き胃袋を満足させるために、毎回ちゃんと大量の食事を仕込むのだが、それでも喧嘩するこの三人はどうにもならないのか。

彼女はガタン、と立ち上がって空になった大皿を持ってリビングを出て行った。

大抵戻ってくるとローが一人でヴォルフの説教を喰らっていて、三人は申し訳なさそうにその様子を眺めている。
が、彼らはどうやら後悔しても反省しないタイプのようで、翌日にはケロッと忘れてまた喧嘩をしている。

世話の焼ける同居人たちだ、とため息が絶えない毎日だが、
それでもこうも騒がしい日々が、どうしようもなく貴くて愛おしい。

「ほら、ヴォルフさん。みんな反省してるから」

まぁまぁ、と二人を宥めて席に戻ると、また六人で食事を再開する。

騒がしいし忙しない人たちだけど、頬をリスのように膨らませて食べるみんなを見ると、彼女の頬もまたほころんでいくのだった。