【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ40)

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ベポをいじめた事実は消えない。
たとえ自分がどれほど不幸で、苦しい状況にあったからって他人に当たることはよくないことだし、無抵抗の相手に怪我を負わせるのは決してやってはならないことだ。
だけど、

「うん。元気そうでよかった」

悪かったとちゃんと謝れる人を許すこともまた大切な事なのだ。

ローは少し俯いて暗い顔をしていた。
何か深く考え込んでいるようだったが、何を考えているかはAにはわからなかった。
そして不意に顔を上げ、口火を切った。

「なぁ、お前ら」

シャチとペンギンはローの方に顔を向け、他の三人もローを見た。

「行くとこねェんだよな。親戚の家に戻るつもりもないんだろ」

「うん…あそこに戻るのだけは、絶対に嫌だ…」

「よし、じゃあお前ら、俺の子分になれ。そうしたら、取りあえずはここに住まわせてやるよ」

その言葉に二人の陰っていた顔に太陽が差し込んだ。

「だからここはワシの家じゃっつーのに！」

ヴォルフががみがみと文句を言うが、ローはそんなもの知るか、といった顔で続ける。

「ちなみにこのベポもすでに俺の子分になってる」

「初めて聴いたよ！そうだったのかよ！アイアーイ！」

シャチとペンギンは顔を見合わせて頷きあうと、二人息ぴったりに頭を深く下げた。

「「ここにおいてください！お願いします！」」

ヴォルフは迷惑そうな顔を作ってまたクソガキが増えるのかと愚痴をこぼしてため息をついた。

「えーいガキども！しょうがないから、貴様ら四人まとめてこの家においてやる！だが勘違いするなよ！ワシはお前たちの保護者になる気はない！家族や友達なんてのもまっぴらごめんじゃ！
あくまでワシらの関係はギブアンドテイク！お前たちは生きていくための場所が欲しい！ワシとAは発明と生活のための労働力が欲しい！等価交換ということじゃ！怪我人の体調が戻り次第、全員町で働いてもらう！ワシらの手伝いだけじゃなく、きちんとした労働もしてもらう！それでいいなっ！？」

誰も反対する者はいなかった。暗い顔をする者もいなかった。ヴォルフ一人が大声を出してしまって、恥ずかしがるように顔を赤くした。

Aはニコニコと笑みを絶やさずにその様子を眺めていた。

＿＿"ヴォルフと、A"？

ヴォルフがAを家に置く理由はただのギブアンドテイクではないのか？

ローの、そんなふとした疑問は、新しい同居人の加入により消えていった。