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この気持ちをどう表せばいい?


綻ぶ頬で、どんな表情を描いてよいかわからずにただ、鼻水と涎にまみれながら嗚咽交じりに泣く少年らを見つめる。

ヴォルフも、安堵と嬉しさとが交じり合ったような顔で、子供たちを眺めていた。
二人は泣きながらも、必死にありがとう、という言葉をつないだ。

「別に、単なる気まぐれだ」

ふと、ぶっきらぼうにそう告げるローと目が合う。
その顔は、クールな風を装っていたけれど、まだ幼いせいか、溢れる誇らしさと嬉しさが、隠しきれないまま口許に現れている。



__あぁ、私、人の命を救う手伝いができた。



どうしようもなく嬉しくて、まだうら若き医者に向けて、その溢れんばかりの歓喜をぶつけるが如く、思い切り抱き着いた。


「うおっ、おい馬鹿! 放せよ!」


「〜っ! 凄いっ、ロー凄いよ!」


陳腐な言葉しか並べられないほど、その時のAは興奮していた。
ローも、恥ずかしがって彼女を引っぺがそうとはしたが、満更でもない表情は隠せずにいた。
それがばれないように背を向けて必死に抵抗したが、


「カッコよかったよ」


赤くなった耳まではなかなか隠せていないようだった。







あの日から一週間が過ぎた。
数日前に抜糸を終えてすっかり目立たなくなった二人の傷跡。
順調に体力も回復してきた。
もう四人と同じ食事をとっても問題ないほどに回復し、ヴォルフが文句を垂れながらもふんふん鼻を鳴らして協力してくれたおかげでリハビリも難なく進んで、ある程度ひと段落した。

そしてローたちは二人に事情を尋ねることにした。
聞きたいことは山ほどあったがまずは自己紹介からだ。


「ガキども! まずは改めて自己紹介をせい! 今更だが、ワシはヴォルフ。天才発明家ヴォルフ様じゃ! 敬意をこめて呼ぶように!」

「あー、お前ら、このじいさんの言うことはテキトーに流しとけ。実際はただのガラクタ屋だ」

「やかましいわ、ロー! 話の腰を折るんじゃない!」

「わーったよ」


二人のやり取りにくすくすと笑いながら、Aはベポとその様子を眺めていた。


少年らは、名前をそれぞれシャチ、ペンギンと言った。

彼らはまずここ二か月の生活について話してくれた。
二人で森の中に小屋を作って暮らしていたが、あの日、狩りで手に入れた肉を焼いていた匂いにつられてやってきたイノシシに襲われたそうだ。
それで咄嗟に町で盗んだ爆弾を爆発させたら、それに自分らも巻き込まれた、と。

・→←七話:シャチとペンギン



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弥生(プロフ) - あ ま ね 。さん» ありがとうございます!頑張ります…!! (2020年12月2日 16時) (レス) id: 02a09e0452 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - とても面白いです!!更新楽しみにしてます!! (2020年12月1日 6時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弥生 | 作成日時:2020年10月12日 2時

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