【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ35)

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「…っ、わかった。使わせてもらう！」

二人から注射器で血液を抜き、それを輸血パックに移して、点滴の針をキャスケット帽とペンギン帽の二人の腕に刺す。
ゆっくりと、透明な管を通って血が二人の身体に流れていく。ひとまずこれで大丈夫だろう。

「じいさん、A！大丈夫か！」

Aは量を考えて抜いたが、ヴォルフの方は少なくとも輸血パック一つ分以上の血は抜いた。ショック症状を起こしたっておかしくはないのだ。

「心配いらん！ちょこーっと眩暈がするくらいじゃ。軽い貧血程度のもんよ。こんなじじいに気を使っとる暇があるなら、とっとと治療を済ませてしまえい！」

「ああ、わかった。…それと、助かった」

「ふん、ギブアンドテイクじゃ…この先一週間、家事はお前とベポにすべてやってもらうからな…」

鼻を鳴らして強がって見せるヴォルフだったが、段々と声に覇気が無くなっていき、気だるそうにソファーに背を凭せた。
Aも同じように大丈夫と笑って気丈にふるまっているが、顔の血色は悪い。それでも麻酔薬を注射器に移し替えて、それをローに渡したり、ペンギン帽の少年の輸血の状態を見張っていたりと、ガンガンと痛む頭に鞭を打って働いた。

「あとは俺の仕事だ」

麻酔を打つと、ローは消毒したメスで傷口に沿って腹を裂いた。
腸の一部が破れているが、問題はない程度だった。すぐに針と糸で傷口を縫合し、他に破損個所がないのを確認してから腹を閉じた。

「ベポ！ペンギン帽をこっちに運べ！」

眠ったまま力が入っていないキャスケット帽をローがソファーまで運び、その間にベポがペンギン帽をテーブルの上に乗せた。
Aもキャスケット帽を運ぶのを手伝った。休めと言っても彼女は聞き入れなかった。

「腕も、繋げてあげるんでしょ？」

「…あぁ、そのつもりだ、けど…」

彼女の言葉にうなずくローだったが、腕を繋げるというだけで難易度は急激に跳ね上がる。
ペンギン帽にも麻酔をかけて眠らせると、冷やしておいた腕と、付け根とを見て、ローは難しい顔をした。
組織がぐちゃぐちゃになっている。爆発で千切れたんだから、綺麗に傷口を塞ぐのは至難の業だ。もしかしたらくっつけても、神経をきっちりつなげることができなければ、動かせるようにはならないかもしれない。

＿＿俺に、できるのか。

グッとこぶしを強く握ったローの手に、ふと暖かいものが触れた。