【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ32)

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六話:二人の少年ページ32

ローが寒さに慣れてきた頃にはベポがきたころから数えて、既にひと月が経っていた。
雪はなかなかやまない。というのも、スワロー島の暖かい季節は一年のうち四分の一しかないのだ。

ローは時間があるときには剣を振り回したりして訓練していたので汗もかくし、家の中は暖かい。ベポに関しては毛におおわれている為、寒いなんて思うこともないみたいだが。

ベポは想像以上に器用なクマだった。ヴォルフの仕事の手伝いをしながら、Aに料理を教わって、今では率先して手伝いをしている。その中で空いた時間に航海術の勉強をしている。

ある日の昼間、ヴォルフが研究所に籠っている間、三人はビニールハウスで野菜の収穫をしていた。ヴォルフの発明のおかげで、冬が長いこの島でも、様々な季節の野菜が取れるし、成長速度を調節することもできる。
それはAの薬草栽培にも一役買っている。室温、湿度、土の種類なんかを分けることでいろいろな場所や季節の薬草や、薬に使える植物を収穫できる。

よく彼女は、ヴォルフはすごい発明家だと言うが、俄かには信じがたいそれも認めざるを得ない。

「Aー、ローさーん！こっちの梅の実も収穫しちゃっていいかなー？」

「どれー？ぐぇっ…！」

ベポが手招きをする梅の木のもとに行こうとすると、突然ローに首根っこを掴まれてAの口からはカエルのような声が出る。
けほけほと咳込みながら呼吸を整えて涙目になる彼女にじろっと睨まれるが、ローは心底嫌そうな顔でベポに向かって怒鳴る。

「やめろ馬鹿！梅は、梅干しにするつもりなんだろう？」

「まぁ、そのまま食べると美味しくないからね」

「梅干し美味いよなー、あれとおにぎりを合わせるともう最高…」

「うるせェ！いいか、金輪際、俺の前で梅干しの話をするな！」

「ひいっ！わ、わかったよ、怒鳴るなよう…」

涎を垂らして梅干しおにぎりを想像していたが、怒鳴られたことでベポはしょぼんと落ち込んだ。だからと言ってローは慰めたり謝る気はないらしい。

「こら、ベポ泣いちゃうでしょ」

「うるせェ、梅干しの話なんかしてくる奴が悪いんだ」

「んもー…あ、ベポ、それはまだ青梅だから梅干し作るにはもうちょっと熟したものの方が良いんだよ」

拗ねたローを放置して、Aは落ち込んだベポの方に向かった。
そして、これは梅シロップにでもしようか、と彼を慰めながら話をしていると

＿＿ドオォンッ！！

突然、大きな爆発音が鳴り響いた。