【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ31)

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ヴォルフやA、ベポと暮らしているうちに、彼らを「愛してる」と思えるようになるのだろうか。
それとも、いつまでたっても、ヴォルフが言うように、互いが互いを利用するギブアンドテイクの関係のままなのかもしれない。
どうなるべきなのか、どうするべきなのか。いつまでたっても答えは出ない。

まだAとヴォルフの関係については詳しく知らない。
ちらりと漏らした父親の話もあれ以降聞けなくなったし、尋ねるのも気まずいので沈黙を貫いている。

自分と同じように、何か訳ありで、ヴォルフとギブアンドテイクの関係を築いているのか。

そう思えるほどには彼女は働き者だ。家の仕事も、ローの仕事がなくなるくらいにテキパキとこなすし、薬も調合しては町に売りに行っているというし、彼女が何か娯楽をしているところはあまり見たことがない。たまに町の本屋で小説や詩集を買ってきて読みふけっているが。

強いて言うなら彼女は芸術に明るいところがある。絵を描くことや楽器を弾くことが好きだという。確かにたまに上機嫌に鼻歌を歌っている。

ローは、彼女の身の上話は全くと言っていいほど知らない。
知っているのは父親が薬師だったことと、その教えを受けていたということだけ。
どういう経緯で一緒に暮らすようになったのかも、一度尋ねてみたが、ヴォルフはAに聞けの一言で、彼女はローと同じようなものだとしか言わない。

今まで気にすることはなかったが、ベポの家族の話を聞いた途端、急に気になり始めた。でもきっと尋ねても教えてはくれないだろう。

父親がどうして今一緒にいないのか、母親は何処にいるのか。その二つは、怖くて聞くことは出来ない。おそらくは自分が想像している答えと同じだろうから。

彼女はいつだって明るいし、笑顔を絶やすことはない。怒られることはあるが、改めればすぐに笑って許してくれる。一言でいうならばお人好しだ。

だけど、一度だけ、夕飯になってもなかなか降りてこなかったので、また勉強に没頭しているのだろうとノックなしに部屋に入ったら、
棚の前で何かの紙きれを見つめながら、彼女の耳で揺れる髪飾りに触れて、普段の彼女からは想像できない寂しそうな表情で立っていたのを見たことがある。

こちらに気付き驚いて、ノックぐらいしろと怒ってきた。が、すぐに笑って、その紙きれを本棚の隙間に差し込んで隠してしまった。

後から知ったことだが、あの日は彼女の12歳の誕生日だったのだ。

　