【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ28)

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「よし。じゃあ、後は黙って俺の言うことに従え、ベポ。
なあに、別に獲って食ったりしねェよ」

「ほ、ホントか？ほんとは集団で俺をクマ鍋の材料にしようとしてるんじゃないのか？」

「んなことするか！」

メンタルが弱いうえにネガティブ思考とは、面倒な性格だ。
お先真っ暗だな、とため息をつきながら、家までの道を三十分ほどかけて歩いた。

玄関のドアを開けると、既にAとヴォルフの靴がある。
ローも同じように靴を脱いでスリッパに履き替え、ベポも靴を脱いで後ろについてきた。

「おーい、ガラクタ屋」

リビングのドアを開けながらヴォルフを呼ぶと、リビングのソファーでヴォルフが寛いでいて、Aは彼の後ろに膝立ちして背中をマッサージしていた。

「何度も言わせるな！ガラクタ屋じゃなく、天才発明家ヴォルフ様と呼べ…ってそのでっかいクマは何じゃああ！！」

眼をひん剥いて叫ぶヴォルフをよそに、ずかずかとベポを連れてリビングに入っていく。

「あぁ、こいつはベポ。迷子の白くまだ。今日からここで暮らすからよろしくな」

「家主であるワシの許可は！？」

「まぁいいじゃねェか。たぶん、力仕事とかで役に立つぜ」

「あ、どうも、ベポと言います。よくわからないまま連れてこられたんですけど…」

「しかも喋ったああ！！」

ぐいっとベポの手を引き、ヴォルフとAの前に出すと、ぎゃあぎゃあと喧しく騒ぎ立てるヴォルフとは裏腹に、Aはぽかんと口を開けてベポを見つめていた。が、急に目を輝かせ

「か、かわいい…！」

「お前はなんでつられとるんじゃ！」

「よろしくベポちゃん！！」

「お、俺は男だよっ！」

「そっかぁ、男の子か～かわいいなぁ～」

Aはベポを気に入ったようで、手を握ってもふもふと撫でまわし、ふにゃふにゃと顔を緩ませていた。
ヴォルフはそんなAを見て、深くため息をつき、ふんっと鼻を鳴らした。

「お前が連れてきたってことは、ワケありか。とりあえず事情を聴かせてもらおうか」

そしてもう一度ソファーに腰かけると、ヴォルフはベポと向かい合う形で小一時間ほど話をしていた。
ローとAは少し離れたダイニングテーブルに腰かけて彼らが話し終えるのを待っていた。

先刻からAはにまにまと上機嫌に足をぶらぶらさせている。
そんなに気に入ったのか、と喜ぶ彼女を見て、暖かいものがローの胸に広がる。

その暖かさの中に隠れた靄のようなものには、気づかないふりをした。