【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ27)

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「馬鹿だなお前！やっぱ喋れてもクマはクマってことか！」

そう言ってローが笑っていると、見るからに落ち込んだ様子の白くまは、ずぅーんと効果音でもつきそうな様子でのそっと立ち上がって、洞窟の隅に落ちていたロープを拾い上げた。
そしてそれで輪を造り、自分の首にかけようと…

「って待て待て待て！何ナチュラルに死のうとしてんだお前！」

「うう…いいんだ…俺みたいな馬鹿は死んだほうが世の中の為…」

「馬鹿ってのは冗談だ冗談！めちゃくちゃメンタル弱ェなお前…！」

ローは慌ててそのロープをクマから奪い取ると、遠くにぶん投げてから、ぽふぽふと背中を撫でて落ち込んでいるクマを慰めた。なんで子守みたいなことをしなくちゃいけないんだ、とへそを曲げていたが、このまま放っておいたら、このクマまた自殺に走りかねない。

「で、結局のところ、お前は寝泊りできる場所もないわけか」

「うん。本当は新世界に戻る船に乗りたいんだけど、あんな危ない場所に向かう船がそうそう見つかるとも思えないし…自分で船を出すにしても、今の俺の航海術じゃ、辿り着く前に荒波に飲まれて死ぬのがオチだよ」

「…じゃあ、航海士としての腕を上げてもう一度兄貴を探しに行くのがお前の『目標』ってことでいいんだな」

ローが意味ありげな質問をすると、白くまはゆっくりと頷きそれに肯定する。

「わかった。ついてこい」

「えっ、えっ！？」

戸惑っている白くまを無視して、ローは洞窟の出口へと向かう。
ずかずかと歩きながら家路につき、白くまはそのあとをおずおずと付いてきた。

洞窟の中は幾何か暖かかったが、外に出ると、まだ雪は降り続いていて、少し身震いをする。
白くまは毛におおわれていて寒さとは無縁だろうが。

「そういや名前はなんて言うんだ」

雪を踏みしめながら、ローは後ろを歩くクマに振り返ってそう尋ねる。

「あ、兄ちゃんの名前はゼポだよ。ミンク族の言葉で『イケメン』って意味で…」

「そっちじゃねェよ！お前だお前、お前の名前を教えろっつってんだ！」

＿＿今の流れで兄貴の名前を聞くわけがないだろう、馬鹿なのかこいつは。

「お、俺か！？俺はベポだよ」

「ベポか。呼びやすい名前だ、悪くねェ。

俺はロー、トラファルガー・ローだ」

彼が手早く自分の名前を告げると、ベポはローの名前を確認するようにゆっくりと呟いた。