【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ26)

今日:21 hit、昨日:13 hit、合計:167,652 hit

・ページ26

もしかしたら、このクマも、つい最近まで自分と同じように孤独な思いをしていたのかもしれない、そう思うと俄然このクマに興味がわいてきた。

「お前、このあたりに住んでるのか？」

「ううん、この島に来たのはつい昨日だよ。知り合いもいないし、住むところもない」

ふるふると首を横に振ってそう告げるクマに、ローはさらに質問を重ねる。

「どこで暮らしてたんだ？」

「えっと、新世界って知ってるか？」

「ああ、聞いたことはある」

ローは、ドフラミンゴのもとにいた時のことを思い出す。
一海賊団のもとに身を置いていたのだから、それなりに海の知識は持っている。
確か、この世界を一周する海域「偉大なる航路」の後半に当たる海だったはず。
ひとつなぎの大秘宝を求める海賊たちにとっては、避けて通れない海。

「ってお前、まさかその新世界からここまで来たってのか！？」

ローは驚きのあまり、眼を見開いて白くまを見た。
海流も気候も磁気もデタラメで、並みの航海術では切り抜けられないと、ドフラミンゴがそう言っていた。船を思い通りの方向に動かすことすら難しいと。

そして、十分過酷なはずの前半の海が「楽園」と呼ばれるほどに、「新世界」は恐ろしい海なのだ。

そんな場所から、この北の海、スワロー島まで来るなんて、このクマは何者なんだ。がらりとクマの印象が変わった。

「お前、自分で船動かしてここまで来たのか？」

恐る恐る尋ねる。もしそうなら、このクマ、とんでもない航海術の持ち主なわけだが…

「そういうわけじゃないよ。ちょっとは航海術も勉強してるけど…。えっと、ゾウの島って言うのが新世界にあるんだ」

「ゾウの島？変な名前だな。そこの生まれなのか」

何だ違うのか、と膨らませていた期待が消えていく。
白くまはコクリと頷いて続けた。

「うん。俺はそこで暮らすミンク族っていう種族なんだ。ゾウでの暮らしは平和で、家族も仲が良かったんだけど、ある日急に、兄ちゃんが居なくなっちゃったんだ」

「書置きも何もなしにか？」

「なんにもなかった。だから俺、探しに行くことにして、船に乗ったんだ。だけど、船を乗り間違えちゃって、気付いたらこの北の海に来てたんだ」

「スゲェ乗り間違えだな…」

呆れ気味に呟くと、彼はまた涙目になって頷いた。

「船は揺れるし、雷は直撃しそうになるし、ホントに死ぬかと思った…」

その様子を見るとなんだか可笑しくて、ローはけたけたと笑い始めた。