【ONEPIECE】Take Your Hurt【トラファルガー・ロー】 (ページ17)

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腰に手を当てて仁王立ちしたAが、ローを見下ろして険しい顔をしていた。とはいえあどけなさの残る顔では威圧感もないわけだが。

「ダメだよ。危ないから」

ぐいっとあまり強くない力で腕を引かれて、ローは渋々鍋から離れた。
にしたって危ない、とはどういう事なんだろうか、と彼女を見ると、困ったように眉をひそめて笑い、ため息を零した。

「危ないって……なんなんだよこれ」

Aは、手で触れて鍋の温度を確認する。そして満足そうに頷き、膝についた土を払って立ち上がった。

「これはね、薬を作ってるんだけど…」

「薬…？」

予想だにしなかった言葉に驚いてAを見つめると、鍋のふたを開け、鍋ごと、ざるを置いた桶の中に出す。すると、中に入っていたであろう植物の葉のようなものがざるの上にパサリと落ちた。

「うん、一応毒だから、離れててね。匂い嗅いだくらいじゃ害はないけど、湯気にも毒性があるから」

「毒って…お前は大丈夫なのかよ」

ローは困惑して作業するAの背中を見つめる。
彼とて幼いながらに医療にかかわってきた人間だが、外科医としての知識は豊富に教わっている一方で、薬に関しては基礎知識や手術に使うような薬の知識しか持ち合わせていなかった。

「ん、私は耐性があるから大丈夫だよ。心配してくれてるの？」

にへらっと人懐っこい笑みを浮かべて、振り向くAに、ローは思わず赤面して顔を逸らす。そんなんじゃない、と照れ隠しを口にして、極力興味無さげな表情を意識して。

「んふふ、君は優しいね」

柔らかく頬を緩めて笑う彼女に、どきりとして、くるりと背を向けて悪態をつく。優しくなんてない、なりたくもない、とそう言って強がってみせると、後ろからは、そっか、と一言だけ聞こえて、それ以上は何も言ってはこなかった。

「んしょっ、と」

彼女がそう声を漏らしたのを聞き、ちらりと目線だけを見やると、重そうに抱えた桶をすぐ傍の水道に持って行き、またもや戻ってくると、今度は鍋とざるを持って行って、と忙しなく作業している。

水道の水で鍋の中身を丁寧に洗って桶の中に移すと、鍋の中に入っていた葉も同じように洗って、ざるの上に置いた。

「…なんか手伝うか？」

「へっ？あー、じゃあね…あそこの台、納屋の中に置いてきてくれる？」

彼女の指さす先にはさっき鍋を置いていた木製の台があって、ローは小さく頷くと指示された通りにそれを持って傍の納屋に入っていった。