呆然 ページ19
『…ハハ、やっぱそっかぁ。私が、合格出来る訳ないもんねぇ』
ベッドに座り込んだ。
震える手で無理やり手紙を拾いながら読んだ。
【拝啓 愛死A様。
残念ながら不合格となりました。
筆記試験点数、93点。
合格の点数をギリギリ超えていますが、
個性が「愛よ死す」。
雄英高校はヒーローを目指す生徒たちがいる場所です。
大変申し訳ないのですが、点数92点でギリギリ不合格となった優秀な生徒を代わりに合格にさせ
ていただきます。
普通科ですが、ヒーロー科と共に行動することもあり、
あなたは個性の関係で敵連合から誘われる可能性があると判断し、
不合格とさせていただきました。
勝手な判断申し訳ございません。
雄英高校より】
『…』
驚く程に見開く目から涙があふれた。
頬に生暖感触があった。
涙がシーツにシミを作った。
手紙を手でビリビリに破って空中に思い切り投げた。
手紙はヒラヒラと舞い床に落ちた。
一回出てきた涙は止まることを知らなかった。
『…なん、で』
机の上に置いてあったカッターナイフを握りしめた。
刃をカチカチと出して
ハートのクッションに思い切り刺した。
グサグサグサ
ビリビリビリ
不吉な音が鳴った。
『なん、でよぉ！』
中の綿がいっぱい出てきた。
残りの綿をクッションの中に手を突っ込んで引っ張り出した。
『なんで、私じゃいけないのっ』
残りの布をまたカッターで切り始めた。
『なんで、個性の所為でダメなのっ』
ビリビリとハートの形が破れていく。
『ひどいよっ！私だってっ、私だってこんな個性いらないんだからっ、ヒーローだってあきらめたのにっ、夢を苦しみながら諦めたのにっ、なんでよぉっ！』
最後に布にカッターナイフを思い切り刺した。
シーツまで切られてしまった。
でもそんなの知らない。
『うぁああああああああああああああああああああああああっ』
大声を出して泣いた。
体中の水を出してるんじゃないかって思う程泣いた。
少ししてボーッと辺りを見渡せば、
崩壊した部屋だった。
いつのまにかいずくと撮った大切にしていた写真も棚から落ちてヒビが入っていた。
雄英に入れると信じて用意した教科書もビリビリに破かれていた。
ハートのクッションだったモノはボロボロな布になっていた。
『…』
『私は、夢を見ちゃいけないのかなぁ』
小さなかすれた声が部屋に響いた。
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西園寺氷空音(プロフ) - uniさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！ (2018年9月24日 11時) (
レス) id: 0dcd459902 (このIDを非表示/違反報告)
uni - こういう作品すごく好きです！応援してます。続き楽しみにしています (2018年9月23日 23時) (レス) id: 516a52c2da (このIDを非表示/違反報告)
西園寺氷空音(プロフ) - リアさん» ありがとうございます！更新がんばります！ (2018年8月8日 10時) (レス) id: 04b35f3cda (このIDを非表示/違反報告)
リア - 続き楽しみにしてます！ (2018年8月8日 10時) (レス) id: 0dcd459902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西園寺氷空音 | 作成日時：2018年3月28日 15時
