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にへら、にへら。


「おい、遅刻者。だらしねぇから緩んだ顔引き締めろよ。」

「そういう小野木も嬉しいんじゃないの?見てもらうタイミング伺ってるんでしょ。」


ちらちらとさっきからマサさんに熱い視線送ってるのバレバレだよ小野木。

痛みを感じて自分の右腕を見ると、痣ができていた。転けたときできたんだ。見つかったら面倒だから、そっと隠した。


「ちげぇーし!」

「そこの二人、集中しろよ。」

「「はい、マサさん。」」


私が着いたのは、マサさんの紹介が終わった後に始まった射込み練習のときだった。マサさんの姿を見てあんぐりと開いた私の口を静弥くんが戻してくれた。ありがたいのなんの。

弽をつけながら、ちらりとマサさんを盗み見る。髪が短くなって、ちょっと現代風に近づいた感じがする。長いときは不思議な雰囲気で別のかっこよさがあったけど。


「Aも滝川先生の知り合い?」

「うん、神社によくお世話になってるんだ。」


矢取りに行くために弽を外す妹尾にそう答える。


「Aも、って他にマサさんと知り合いがいるの?」

「鳴宮だよ。ほら。」


妹尾が見やる方向には砕けた口調で話している二人。マサさんは湊に付き添って指導をしていた。

それをハンカチを噛み締めるような顔で見ている小野木。…嫉妬する乙女かな…。

的の前で礼をして摺り足で進み、本座に立つ。それからは流れるように動作をした。ゆっくりと、しかし不自然にはならないように。前と比べて弓が従ってくれている、そんな感覚がした。
引き分けて矢が頬につくと時間が止まったように感じる。

時を経て離れた矢は心地の良い的音を響かせた。
するとマサさんが横から声をかけてきた。


「A、弓を新しくしてどうだ?」

「竹弓と比べるとちょっとかたいけど…強さが自分に合って引きやすいです。」

「そうだな、前より自然になったと思う。大三も急いでなかったぞ。」


近いうちに呼吸も意識してみよう、と新しい課題をマサさんがくれた。
新しい弓は思っていた以上に私に馴染んでいるようだ。


「体配も綺麗だ。その調子でがんばれよ。」

「!ありがとうございます!」


…褒められた!そういえば、さん付けじゃなくなっていた。A、って呼んでくれた。小野木も湊も下の名前だから変えてくれたのかな。


「奥さん口緩んでますよ。」

「あらやだ。」


うるさいぞ七緒。

。→←第五射 思い出す人。



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ぴぴるぴー(プロフ) - 番犬ズはこれからも活躍をしてもらいます(笑)文に関しては雑にならないようにしていたので綺麗と言われて安心しました…!ありがとうございます(*^^*) (2018年12月24日 13時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 綺麗な文章で読んでいて気持ちいいです!番犬最高。これからも応援しています。 (2018年12月24日 0時) (レス) id: af3085a075 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - ありがとうございます!主人公には私が弓道で注意していることをそのままやってもらってます(笑)。更新忘れないように頑張ります〜! (2018年12月1日 21時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
四郎(プロフ) - 私も今部活で弓道をしているので、主人公の凄さっぷりがよく分かります!!的中連発とかいつかしてみてぇ…。更新頑張ってください!! (2018年12月1日 2時) (レス) id: 6e9081cabc (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - そう言ってもらえてとても嬉しいです(´・・`)張り切りすぎて画面割らないように気をつけます! (2018年11月26日 1時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴぴるぴー | 作成日時:2018年11月19日 1時

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