閑話_君のとなりで。 ページ16
「誰ですかっ…ほっといてください…！」
初対面の男子に泣いてるところなんか見せたくないか。
彼女は壁を背にしゃがんで膝に顔をうめていた。しゃくりあげる肩がどうしても苦しそうで！僕は彼女の隣に座って背中をさすった。
そんな僕に脇目をふらず彼女は黙って泣いていたが、次第に落ち着いた頃に口を開いた。
「…ありがとうございます。」
ボソリと彼女は呟く。
そりゃ、顔すら知らない男子に泣いてるところを見られて、その上背中をさすられるなんて嫌だっただろう。
女の子が泣いてるところになんて、そうそう立ち会わせることない。
つまり、女の子の慰め方なんか知らない、僕は。愁とかはそういうの平気そうだ。
「僕は、君の射が綺麗だと思ったよ。」
「え？」
やっと、顔上げてくれた。
驚いて開かれた瞳は涙に濡れていても綺麗で、僕は思わず焦って捲し立てた。
「あの試合の中でも君が一番上手かったし、チームに貢献してた。それに、決勝まで登り詰めてたのは君が皆中してからだよ。君がいなきゃ、勝ってないんだ。」
「わ、私が最後に弦切れなんかしなかったら、同率で、もう一矢あったんだよ？」
「…君は、君のせいで負けたとおもってるの？」
「だって、先輩は最後で！私が出るせいで、最後の試合を観客席で見る先輩も居たのに！」
彼女の瞳からまた、涙が溢れ出す。
あぁ、ごめんそんなつもりじゃないんだ。止めたいのに。
もう僕はどうすればいいのかわからなくなって、彼女を抱きしめた。
「なら！君は明日の個人戦で勝て！悔しいなら個人戦で見返すんだよ！」
「…！」
「君に実力があるのは誰が見ても分かる。だから、個人戦で優勝して君の実力を残すんだ。」
「私は、先輩のために団体戦で優勝したかったの。個人戦で優勝しても誰のためにもならないよ。」
「じゃあ、僕のために優勝してくれ。」
君がつらいなら、僕が隣で励ますから、
「僕が君の優勝を一番祝うから、一緒に喜ぶから！」
「何それ、ぶっ飛びすぎ…!」
彼女がやっと笑ってくれた…!
そのことに安心すると、彼女を抱きしめていたことを思い出し、慌てて離れる。
「ごめん！」
「全然いいよ、ありがとう。…貴方の名前は？」
「竹早静弥。君は？」
「矢田A、名前でいいよ。私、静弥くんに優勝届けるから。」
彼女、Aの口から僕の下の名前が呼ばれて、胸が高鳴った気が、した。
「うん、待ってるよ。」
隣でにいさせてくれるなら、君をずっと待つよ。
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ぴぴるぴー(プロフ) - 番犬ｽﾞはこれからも活躍をしてもらいます(笑)文に関しては雑にならないようにしていたので綺麗と言われて安心しました…！ありがとうございます（*^^*） (2018年12月24日 13時) (
レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 綺麗な文章で読んでいて気持ちいいです！番犬最高。これからも応援しています。 (2018年12月24日 0時) (レス) id: af3085a075 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - ありがとうございます！主人公には私が弓道で注意していることをそのままやってもらってます(笑)。更新忘れないように頑張ります〜！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
四郎(プロフ) - 私も今部活で弓道をしているので、主人公の凄さっぷりがよく分かります！！的中連発とかいつかしてみてぇ…。更新頑張ってください！！ (2018年12月1日 2時) (レス) id: 6e9081cabc (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - そう言ってもらえてとても嬉しいです(´･･`)張り切りすぎて画面割らないように気をつけます！ (2018年11月26日 1時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴぴるぴー | 作成日時：2018年11月19日 1時
