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「兄さんはお人好しすぎなんです。」
自分を犠牲に人を助ける兄さんを思い出す。私が野良犬に追いかけられたとき、綾さんが車に轢かれそうなとき。
「兄さんは私の代わりに怪我をして、もともと怪我してた肩に負担がかかりすぎて弓道ができなくなった。」
私が弓道を始めたきっかけは兄さんの射場に立つ姿だった。
兄さんが弓を引く姿に憧れて、弓道を一から兄さんに教えてもらった。
しかし、私のせいで兄さんは弓を持てなくなって辞めるなら私もって、
「兄さんは私が弓道を楽しそうにするのが好きだから、辞めるなら俺の代わりにこの竹弓でひいてくれって。」
女子、小学生の私には15キロの竹弓なんか到底引けなかった。そこから練習して、竹弓にふさわしい力をつけようとして。
竹弓を使い出したのが中二の県大会直前で、慣れない重さと弓の種類で弦切れしてしまった。
「先輩の引退試合で失敗しちゃって、兄さんのときみたいに先輩の弓道も終わらせちゃったんです。」
先輩を押しのけて試合に出ていた私は居づらくなってしまった。色々耐えきれなくて弓道をやめた。
マサさんは黙って聞いていたが、やがて口を開く。
「Aさんはお兄さんのためだけに弓道をしていたのか？お兄さんの代わりとして射場に立って、お兄さんと同じ射をして。」
…そういうつもりで私は弓道していたのだろうか。マサさんは言葉を続ける。
「弓道、武道は心技一如だ。心の表れが技に出るから、誰かの代わりと思ってるいると上達はしない。武道は己の精神と人間性を磨き続け、完成はない。」
「そんなこと分かってますよ…！」
「じゃあ何故、ここに戻ってきたんだ？」
マサさんはとんとんと、足の裏で射場の床を叩く。
竹弓の手入れを続けたのは竹弓が壊れるのが嫌だったから？いや、弓道を本当は続けたから。
「人の弓道を奪って、また弓道を始めてもいいのかな？って思いました。」
風舞の弓道場に初めて一緒に足を踏み入れた2人を思い浮かべた。
「ある人達が仲間って言ってくれたのが嬉しかったんです。」
「そいつらと弓道をするのは楽しいか？」
「はい！」
「ならいいさ。」
にこりと微笑んでマサさんは私の頭を撫でてくれた。
一方的に私が話してただけど、初めて誰かに気持ちを伝えれたことが私には十分だった。
私が帰ったあとにもう1人悩める弓引きが夜多の森弓道場に現れる。
「風舞はおもしろいやつばっかだな。」
彼が去った後、滝川雅貴は待ち遠しそうに笑った。
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ぴぴるぴー(プロフ) - 番犬ｽﾞはこれからも活躍をしてもらいます(笑)文に関しては雑にならないようにしていたので綺麗と言われて安心しました…！ありがとうございます（*^^*） (2018年12月24日 13時) (
レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 綺麗な文章で読んでいて気持ちいいです！番犬最高。これからも応援しています。 (2018年12月24日 0時) (レス) id: af3085a075 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - ありがとうございます！主人公には私が弓道で注意していることをそのままやってもらってます(笑)。更新忘れないように頑張ります〜！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
四郎(プロフ) - 私も今部活で弓道をしているので、主人公の凄さっぷりがよく分かります！！的中連発とかいつかしてみてぇ…。更新頑張ってください！！ (2018年12月1日 2時) (レス) id: 6e9081cabc (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - そう言ってもらえてとても嬉しいです(´･･`)張り切りすぎて画面割らないように気をつけます！ (2018年11月26日 1時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴぴるぴー | 作成日時：2018年11月19日 1時
