。 ページ14
『夜多の森弓道場』と書かれた看板を横目で見て扉に手をかけた。
ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ
「__こんにちはー…。」
声が響くがやがて消えていく。誰もいないみたいだ。そりゃ、鍵は開いておらず自分で開けたのだから当然だけど。
玄関をくぐり、射場へと足を踏み出すとそこには風舞とは違う雰囲気を感じた。
周りは山林に囲まれて少し閉鎖的に感じるが、木々の隙間から溢れる光、木漏れ日がそよぐ草たちを照らしていて、夜とは違う神秘さがあった。
弦を張り、的を安土につけて射場へ戻ると見覚えのある男が1人。髪を一つ結び、真っ直ぐとした姿勢は端正な顔立ちをより引き立てる。
「なんだ、Aさんも弓道してたのか。教えてくれればよかったのに。」
「別にマサさんに黙ってたつもりはありませんー。」
所詮、仲の良い神主とお手伝いだ。意外とお互いのことを知らないのである。
「どうしますか？一緒にします？」
マサさんは顎に手を当てて考える素振りをする。それだけでも絵になるもんなので、ぽけーっとみとれてしまう。
「少しAさんの射でも見ようかな。ほら、女子高生の弓道姿だぞ〜。」
前言撤回。やっぱりマサさんはただの変態親父だった。無視だ、無視。マサさんなんか無視。
的前に立つ。
一年以上弓道から離れていても、数年間かけて染み込んだ行射は簡単に忘れるものではない。矢を番えてから、弓構え、打起し、大三、ここで少し違和感を感じてしまうので、ゆったりとした動作から引き分けまで素早くなってしまう。そして、大三からゆっくり弓を引き分ける。そして口元まで矢が降りてきたのを確認する、が、ここからなのだ。いつ離すべきか迷ってしまうのだ。どこかおかしいところはあるか、狙いは定まっているか、何度も気にしてしまう。
ｶﾞｯ
やっとのところで飛んで行く矢は、的の一番外側の黒で枠ぎりぎりに的中したため、私の好きな的に中るとき音ではなかった。
「的中。」
「でも、なんか違和感…。」
「綺麗な射だが悪いとこもある。」
うぅ…やっぱりそうかぁ。自分でも分かってるんだけど…。
「押大目引三分一！大三！」
「へっ！？」
「大三も丁寧にしなければ次の動きも良くはならない。だからまず、」
「まず？」
「弓を軽くした方がいいぞ。Aさんにはその竹弓少し重そうだ。何キロ？」
「…15。」
「変えた方がいいな。それは自分の弓か？」
無意識にぎゅっと弓を握ってしまう。
「ううん、私のじゃない。兄さんに任せられた弓。」
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ぴぴるぴー(プロフ) - 番犬ｽﾞはこれからも活躍をしてもらいます(笑)文に関しては雑にならないようにしていたので綺麗と言われて安心しました…！ありがとうございます（*^^*） (2018年12月24日 13時) (
レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 綺麗な文章で読んでいて気持ちいいです！番犬最高。これからも応援しています。 (2018年12月24日 0時) (レス) id: af3085a075 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - ありがとうございます！主人公には私が弓道で注意していることをそのままやってもらってます(笑)。更新忘れないように頑張ります〜！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
四郎(プロフ) - 私も今部活で弓道をしているので、主人公の凄さっぷりがよく分かります！！的中連発とかいつかしてみてぇ…。更新頑張ってください！！ (2018年12月1日 2時) (レス) id: 6e9081cabc (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴるぴー(プロフ) - そう言ってもらえてとても嬉しいです(´･･`)張り切りすぎて画面割らないように気をつけます！ (2018年11月26日 1時) (レス) id: cd72a96e39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴぴるぴー | 作成日時：2018年11月19日 1時
