【ＢＢＢ】魔法が解けたなら【スティーブン】後編 ページ2
目の前には真っ青な顔で倒れていく愛しい彼女。出血が多すぎて立つことさえままならなくなった彼女は床に吸い込まれるかの如く崩れていった。多分、その瞬間を目の当たりにした俺の顔の方が蒼白だったと思う。
「おい！目お開けるんだ！！」
そう必死こいて叫んだことを思い出すよ。かすむ目でしっかり俺をとらえた彼女はなんて言ったと思う？
「愛してる」
そう言ったんだ。ひどいだろ？まるで別れの瀬戸際に立たされたときの挨拶みたいで。
俺だって普段まともに愛してるなんて言ったこと無いんだぜ？仕事上、そういう言葉を他の女性に吐くことは何回もあった。だから、彼女への「愛してる」を、安売りしたくは無かったんだ。
こんな状況で言われるなんて、誰が想像しただろうか。普段からもっと「愛してる」と言っておけばこんなもどかしい気持ちにはならなかったのだろうか。
未だ病室で寝たきりの彼女。手を握っても、呼びかけても「愛してる」と呟いても、目覚めることはなかった。
うかつだった、と自分でも反省しているよ。
今回の相手は運悪く長老級だった。まさか傷が治らない攻撃だったとは．．．さすがにそんな攻撃をもろに食らって、生きていることなんて普通の人間には考えがたい奇跡だ。しかし彼女はまだ生きてる。結果としてだけどね。さすがとか言い表せないよ。
．．．ん？妙に他人行儀な言い方だって？はは、勘弁してくれ。こうでもしないとおかしくなってしまうんだよ。
「なあ．．．早く目覚めてくれよアビー。
どうやら僕は、君がいないと駄目になってしまうようだ。」
そんな僕は見たくないだろう？ハニー。
この眠りという魔法が解けたなら、いっぱいキスをしよう。もう無理って言っても止めてなんかあげないよ。そして．．．そうだな。いっぱい「愛してる」を呟こうか。甘ったるい声で言われるのは嫌いだったが、君の声なら僕は好きになれそうだよ。蜂蜜のような甘い日常を、二人で送ろう。溶けてしまうくらい甘い日常を。
「だから早く、魔法を解いてくれないかい？僕の大切な眠り姫？」
そう言って交わした淡い口づけ。
「．．．．．．スティー、ブ」
僕の愛しい君の声が耳元に響くまで、僕は何度だってキスをしよう。
そして目覚めたときにはこう言うんだ。
「目覚めのキスはどんな味だい？」
「とっても甘い、大好きな味」
【ＥＮＤ】
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LittleSnow - マリイ(灰崎信者)さん» リクエスト、有り難うございます！もし、こういう設定が良いなと言うのがあれば、是非書いてください。思ったのと違っていた場合はすみません。 (2018年2月14日 17時) (
レス) id: 93e099ae7c (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(灰崎信者) - 黒バスのリクエストで祥吾様お願いします (2018年2月14日 1時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LittleSnow | 作成日時：2018年2月14日 0時
