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【BBB】魔法が解けたなら【スティーブン】前編 ページ1

突然だけど、俺は彼女が苦手だった。いや、勘違いしないでくれ。あくまで過去の話だ。
今はこの上なく愛しているよ。まあ現在進行形で、形容しがたい愛を俺から貰っている彼女だが、苦手だったのだ。何故かって?全てお見通しだったからだよ。見せかけの笑顔も彼女はあっさりと見破ってしまう。まったく...たいした物だな。彼女の前では嘘は無意味なんだ。

彼女もライブラの構成員だ。先ほど言ったとおり彼女は鋭い...クラウスほど鈍感であれば良かったと何度思ったことか。
だから俺が裏で何をしているのかなんてほぼほぼ予想は付いているはずだ。香水くさいスーツで帰宅するたび、それでも笑顔で受け止めてくれた彼女は偉大だと思ってる。逆の立場なら怒りでどうにかなりそうだ、なんて天邪鬼な考えを捨てるつもりは毛頭無い自分の性格が捻くれていることなど重々承知している。

まあ、それはさておき、だ。彼女は並大抵の事では死なない。いや、そりゃぁ姿形の残らないほどミンチになったりだとかは死ぬけど、銃で撃たれたりだとか、心臓を刺されたり...それこそ四肢を切断したりしても死なない。自己回復能力がずば抜けているからね。自分で治せるには許容範囲があるものの、簡単には死ねない。

ライブラが惹かれたのはそこだった。彼女自身、その能力を売りに生きてきた身だ。利用される、そんなことは苦痛には思わないようだ。それは重々承知した上での扱いをこちらもしていた。逆に気を遣うことが彼女にとっての失礼に値する行為だからな。
それに、囮作戦や戦場での最前線配備でケガをし入院しても大体一週間もしないうちに退院していた。

そんなことが日常茶飯事な物だから、今回も軽いケガ、それも一週間程度の入院で済む物だとすっかり錯覚に陥っていた。

そう、コレは彼女が目覚めなくなって一ヶ月ほど経ったときの話だ。

・・・約一ヶ月前・・・

「おとり...ですか?」 「ああ。」

重苦しい俺の表情は、彼女にとっては酷く見慣れた表情になっていることは安易に想像できる。
この類いの話を持ちかけるたび、毎回胸が苦しくなり息が上手く吸えない...まあ、ハッキリ言って怖いのだ。彼女を失うことが。はは、まるで病気みたいだ。

彼女の立ち位置は、彼女以外のライブラの構成員では死んでもおかしくない危険な場所だ。
だれが好きで恋人をそんなところに立たせる?しかし、副官として、仕事とプライベートは分けなければいけない。そして彼女もそれを望んでいる。


...俺はただ、そんな彼女に甘えていただけかもしれないな

【BBB】魔法が解けたなら【スティーブン】後編→



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LittleSnow - マリイ(灰崎信者)さん» リクエスト、有り難うございます!もし、こういう設定が良いなと言うのがあれば、是非書いてください。思ったのと違っていた場合はすみません。 (2018年2月14日 17時) (レス) id: 93e099ae7c (このIDを非表示/違反報告)
マリイ(灰崎信者) - 黒バスのリクエストで祥吾様お願いします (2018年2月14日 1時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:LittleSnow | 作成日時:2018年2月14日 0時

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