たけみっちのお兄さん。【東リべ】

29、俺と帰り道 ページ29

○○side




『手伝ってやるよ』



そう言った彼は笑っていた。

ああ、この人は人のために何か出来る人なんだなって思った。

俺ならまず手当てなんかしないし、マイキー君に報告して終わりだったかもしれない。

どこか、ほんのちょっとだけバジさんと似てる気もした。

嘘のない、屈託のない笑顔だと思った。



とても魅力的な気もした。

そしてこの数分話しただけだが、この人はスイッチがある。


集会の時のような、和ませる“on”スイッチと

今のような笑顔だけどどこか寂しそうな“off”スイッチ。


何がこの人をそうしてるのだろうか。

そこまで思って俺は考えるのをやめた。




＿＿＿＿＿俺がそんなこと考えてどうすんだ




それよりまずはバジさんの話だ。

バジさん...絶対俺が守る。





『お前、名前は？』




「＿＿＿千冬。松野千冬だ。」


ーーーーーーーー
スタスタ...


『んでさぁ千冬、俺そこで言ったの！アホらしくね？って。

そしたらぶん殴られた。』


「んなこと言うからでしょう...」


『はぁ？酷くね？？俺が悪いの？』

「確実にアンタだろ...」

『ふぅ〜これだからお子様はねぇ〜』

「うっっっざ」



バジさんみを感じたこともあり、気付けば敬語になっていた。

そのことに気付いたのは家に帰ってからだったが...

Aさんも気にしてなかったし、まあいいかと思った。



『千冬！』



そう俺の名前を呼んでくれるとこを見ると

マイキ―君がAさんをお気に入りにする理由も分かってきた。

傍にいたくなるような、ずっとしゃべっていたくなるような

彼も不良だけど、不良らしさを感じなくて


血塗れのとこから救われた気すらした。

不良を辞める気はさらさらないのに。




『お〜ほんとについた...すんげぇな千冬』

千冬「もう凄いの感覚くるってません？？」

『今日で俺は自分が方向音痴だと自覚した。』

千冬「はぁ...ま、何かあったら言ってください。俺でよければ...」


『もちろんそうするけどお前の言ってる何かって道に迷うことだよな？？』

千冬「当たり前じゃないですか」

『は？？やるか？？』




けどホントは、喋る為の口実で、連絡先がほしいだけかもしれない。

それを家に帰るまで気付かなかった俺はバカだ。



ーーーー
本誌の人にはわかると思いますけど、
千冬のAクンへの喋り方...
場地さん系か一虎系かで迷い...
出会い方的に一虎系になりました。

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