一撃男 ページ2
赤い怪人は続けて叫んだ。
「私は、地球によってここに召喚された、『ボキンちゃん』よ！」
「募金ちゃん？ お前、怪人じゃないのか？」
「うるさいわね！ ワクチンマンにも言われたわよ！ あの人は何処かへ行ってしまったけどね……」
ちなみにその『ワクチンマン』を倒したのは誰であろう、サイタマだ。そんな彼は当然、そんなやつのことは覚えていない。
「ワクチンマンを殺した、地球人……私は許さない！」
すると、みるみるボキンちゃんの体は肥大化していった。おそらく、五階建てのマンションほどはあるだろうか。ボキンちゃんはサイタマを見下し、激昂した。
「私は！ 怪人を殺す地球人を、根絶やしにする！ 一匹たりとも！ 逃がさない！」
そこで――ようやく事態に気がついたのか、サイタマの顔色が一変した。周りを見渡しながら、「ねぇ、ねぇ」と呟いている。
ボキンちゃんがすかさず攻撃の体勢に入った。
「キャハハハ！ アホ面め！ やっと自分の立場に気がついたか！ 逃げ道が無い無い言ったってもう遅い！」
ボキンちゃんが拳を振り上げた。
「能無しの地球人め！ 手始めにカキタマ(？)！ お前から死ぬがよいィィィィィィィィィィィィ「ぐっはあああぁぁあああぁあああぁあッッ！」
一瞬にして、ボキンちゃんの周りに肉片が飛び散った。いや、
――ボキンちゃんが肉片になった。
ボキンちゃんが台詞を言い切らない内に、サイタマの拳が一撃だけ命中した。
――すなわち、ワンパン。
――サイタマは、この世の森羅万象すべてを、ワンパンで片付けてきたのだ。
「あッ！！」ボキンちゃんの肉片がベチャベチャ地に落ちる中、サイタマが天を仰ぎ見て、叫んだ。「俺のお墨付きスーパーが無ぇ！！！！」
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作者名：赤林タケジ | 作成日時：2015年10月2日 17時
