359三成の慈悲 ページ49
三成『…何が言いたい。』
刑部『……
…幼少の記憶がないと言うのは嘘であろ?』
三成『……うたから聞いたのか。』
刑部『いいや。太閤から近江の村での事情を聞いて、そう推測したまでよ。カマをかけてみたつもりだったが…誠であったか。』
三成『……何故解る。』
刑部『主の顔に書いておるからよ。どれ程無を装っていても、我には手に取るように分かるぞ。』
三成『……。』
刑部『……何故、うたにそのような虚言を言った。』
三成『…貴様に話す事ではない。』
刑部『…
…うたを守れなかった己を悔やんでおるのか。』
三成『!!』
刑部『…図星か。嘘、偽りを悉く嫌悪している主がそこまで心を寄せているあの娘……まっ事健気よな。』
三成『……。』
刑部『……案ずるでない。うたには口外せぬ。主の意図を察せられぬ程我は不躾ではない。そう顔をしかめるなやれ。』
三成『…………今、この国に安全地帯などない。』
刑部『!』
三成『…秀吉様は拳一つであの曇天に満ちた村を神の手などという堕落した偽善からお救い下さった。うたも私の事も…
…私は秀吉様に光を見た。その光がこの腐った天下をあの拳で玉砕し、この国を変えるまで…私はあの方に仕えると誓ったのだ。』
刑部『……それとうたを欺く事とどう繋がる?』
三成『……秀吉様の天下獲りに何より障害となるのは情だ。
秀吉様に仕えるからには、私自身も情を棄てねばならぬ。
…それに…あいつは…今の日ノ本で生を統べるには…あまりにも愚直で無垢だ……
…でも、あいつが居なかったら、今の私はここには居ない。あいつは私に無償で尽くしてくれたのに、我ながら愚かな事に、私は何一つあいつに与えてやる事が出来なかった…
…力に押し流されたのだ…!!』
刑部『……。』
三成『……だから、私はもうあいつの前で弱みは見せない。秀吉様が天下を統一されるまで、私は秀吉様に心を捧げる。』
刑部『…三成。主はあまりにも不器用よ。それではうたは…』
三成『もちろん、あいつの事も野放しにはしない。故に私の傍に置いたのだ。』
刑部『ヒッヒッヒッ…だが、主は驚かされたであろ。まさかうたの方から主に主従を持ち出しに来ようとはな。』
三成『…
…刑部。もし私がうたに情を懐きかけた時は貴様が私を断罪しろ。』
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タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!!終盤戦ももうすぐそこなので、張り切って最後まで書かせて頂きます!! (2017年11月13日 13時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - もう楽しみでしょうがないです、早く続きが見たい!夢主達がどぅーなるか気になります!!更新頑張って下さい!! (2017年11月13日 12時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!もう本当に長らくお待たせしてすみませんでした!!完結まで後もう少しなので、頑張って最後まで終わらせます!! (2017年10月24日 11時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - 待ってました!!これからどぅーなってくるか楽しみです!!更新頑張って下さい!! (2017年10月23日 18時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!すごく嬉しいです!返信遅れてすみませんでした!これからも張り切って更新させていただきます! (2017年10月22日 20時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タンポポ | 作成日時:2017年9月13日 14時