349影華棘刃 ページ39
そこには倒れ伏す光秀と光秀の血で赤く濡れた刀を手に立つ皎月院の姿があった。
A「うた…ちゃん…!?」
皎月院はAの前まで来ると、以前と同じ優しい笑みを浮かべてAに手を差し伸べた。
皎月院「……Aさん。遅れてごめんなさい。私も…あなたと同じ…
…この者を許せないのもそうですが…
…殿と家康様、皆の戦いを護りたいのは私も同じです。
だから、共に戦い、守りましょう?私達の光が…月と太陽が前へ進めるように。」
A「!…うん…!」
Aは皎月院の手を取り、立ち上がる。罰印の痛みは消えないが、それよりも負けない覚悟と皎月院の手がAの心を奮い立たせた。
A「光秀…もうアンタの目の前に立ってる瀬名姫はな、紅い三日月背負った哀れな女狐じゃない。今は普通の…友達や恋人と遊び盛りの女だ。
だから、ここでくたばる訳には行かない。まだまだこれからも一緒に居たいと心から思える人達が居るから。その人達と一緒に生きたいから。」
皎月院「ただ孤独に酔いしれ、己が空虚を満たす為だけに人を殺め続け、今は亡き主を盲目的に追い求め、生き還らせんとする事だけを生き甲斐にしてきたあなたと私達…どちらの想いが勝つのか証明してみせましょう。」
そう言って二人の娘はそれぞれ己の得物を光秀に向けて構える。その姿は正しく太陽、月の光を纏った美姫だった。
その眩しい光に光秀は…
光秀「クククク…これはこれは…なんとも奇妙な組み合わせですね…交わる事のない光と影…本気で共闘出来ると?
あなた方の主が知ったら、罰を降すのでは?特に…西軍の総大将の方は…」
皎月院「見くびらないで下さい。私の主…殿はもう影の存在に在らず。今は亡き秀吉様の志を引き継ぎ、西軍を光へ導いて下さる存在となりました。
もちろん、殿だけに責任を負わせたりしません。私達が殿の居場所となり、殿の光になるのです。
その証拠に、私がここに居るという事は殿の信頼無くしては有り得ない事なのです。」
A「うたちゃん……。」
そこに駿府城の地下で迷いを見せていた皎月院の姿はない。在るのは刀のように強い光を宿した眼と、健気な想い。
それは正しく、愛するものの為に咲き乱れる華だった。
光秀「……なるほど……それなら余興として十分に楽しめそうですね……狐と華……双方美しく紅に染まり散らせてあげますよ…!!」
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タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!!終盤戦ももうすぐそこなので、張り切って最後まで書かせて頂きます!! (2017年11月13日 13時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - もう楽しみでしょうがないです、早く続きが見たい!夢主達がどぅーなるか気になります!!更新頑張って下さい!! (2017年11月13日 12時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!もう本当に長らくお待たせしてすみませんでした!!完結まで後もう少しなので、頑張って最後まで終わらせます!! (2017年10月24日 11時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - 待ってました!!これからどぅーなってくるか楽しみです!!更新頑張って下さい!! (2017年10月23日 18時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!すごく嬉しいです!返信遅れてすみませんでした!これからも張り切って更新させていただきます! (2017年10月22日 20時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タンポポ | 作成日時:2017年9月13日 14時