拾い猫は黒猫か_2 ページ5
何から何までお世話になっている
助けを求めたあの時、ちょうど逃げた先がシマに入っていたらしく2人に助けられた。
その後そのまま担がれて、病院ではなくアジトまで連れてこられ、医療担当の銀髪褐色の人に診察され治療され、数日経って、今。
足の怪我は確かにまだ完治はしてないけれど、もう流しすぎた血は回復したし、調子もだいぶ良くなったので、お世話になりましたと言い出ていこうとしたが、だるまさんにもローレンさんにも、なんだかんだと止められてまだお世話になっている。
「……うま」
受け取った飯を1口食えば、今日もとても美味しくてつい口をついて賞賛が出た。
この飯が食べられなくなるのなら、確かにまだここに居ても良いかも……と、思ってしまう位には美味い。
何故か俺が食べ始めるまでジッと見ていたローレンさんも、その俺の一言に満足そうにしながら食い始める。
アンタはここで食うわけね。
「…なぁ、」
俺が二口、三口と食べてる間、かなり早食いで食べ進めるローレンさんに、ふと声をかけた。
「ん?ほひた?」
俺が食べてる途中に声をかけたのが悪いのだけれど、口に入った物を飲み込む前に、返事をしてくれる。
その姿に少し笑いそうになったが、コチラから声をかけた手前、我慢して話を進める。
「なんで俺、まだ出てっちゃ駄目なんですか?」
言うてただただ迷惑をかけて、タダ飯ぐらいの奴をアジトに起き続けてもいい事なんて何も無いだろう。
引き止める所か、追い出されても文句なんて言えない立場なのに彼らは巣立ちを許さない。
「んー、いやまぁ、ダメってこっちゃねーんだけど」
飯を食べ終わった皿を置いて、こちらに向き直す彼の長く結ばれた髪が揺れる。
わざわざ体制を正す程の理由があるのかと、こちらもベッドの上に座りながら背筋をほんの少しだけ正した。
「拾った猫が、身体に傷跡だらけで、栄養も足りてないような身体つきしてて、ガリガリだったら、沢山世話焼いてご飯食わして健康にしてやりたいと思わん?」
は?
「…拾い猫扱い?」
「…よく噛んで食えよー」
もしかして、この人も、だるまさんも、ご飯を作ってくれてるお姉さんも、日に1度身体の様子を確認してくれる褐色の人も、みんな
「ペットだと思ってる?」
思わずそう聞いたら、彼は笑いながら、そこまでではないんじゃね?と言った。
少しは思ってんじゃねえかっ!と、思うだけで口から出すつもりは無かったが、口から零れた。
彼はその俺の態度にまた笑った
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take(プロフ) - 恵蓮さん» 恵蓮さんありがとうございます!励みになります…!! (9月16日 19時) (レス) id: c318ee380a (このIDを非表示/違反報告)
恵蓮(プロフ) - これからの更新も楽しみにしております! (9月16日 19時) (レス) @page6 id: 727a00857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:take | 作成日時:2023年9月15日 1時