夢の街の洗礼_2 ページ3
決まれば早い、銃のリロードを終えてから、身を隠していた場所を離れて走る。
ただの雇われ構成員が居なくなった所で、それを気にする者なんて、直接雇った誰かぐらいにしか分からないだろう。
そもそもそいつがまだ生きていて無事なのかも分からない。願わくば亡くなってくれてる方がこちらとしては助かるのだが。
そう願いながら、騒がしい場所を離れて路地裏に入ろうとした所で
「っ!いーーってぇ!」
銃弾が足を掠めた。
その後ろからは男が数名、待てだの逃げるなだの言いながら近づいてくるのが見える。
それがどちらのギャングだろうと、見える未来はそんなに変わらない、とりあえず、撃たれた足を引きづってでも逃げなければならない。
「さいっ、あくだ!」
血が止まらない足を引きづり、路地裏を進んでいく。
時折追ってくる奴に威嚇射撃をするが、逃げながら打つ弾なんて本当にただの威嚇にしかならない。
なのに、追う側の相手の弾はこちらの腕や頬をかすって行く。
「っ、あっ」
路地裏の道を、もう少しで抜けきるといったところで、相手の弾が先程最初に撃たれたのと同じ足に当たる。
今度は掠るなんてものではなくて、しっかりと命中する形で。
いい腕してるじゃねえかふざけんなと口に出す前に、撃たれた衝撃で転んだし、後ろからは当てたことを喜ぶ声も聞こえた。
ああくそ、こんな所で、こんな所で終わるなんて
「助けてやろーか?」
そんな声が上から降ってくる。
幻聴かと上を見れば、タバコを加えた赤い髪の男と、その横には頭に輪をつけたベージュの髪の男がいた。
何も分からない、何も分からないけれど、ただ一言、助けて。と零すように伝えると、
「おけ、まかせな」
「ここが俺らのシマで良かったなぁ、ほんま」
そんな会話だけが、遠く耳に届いて、俺は意識を手放した。
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take(プロフ) - 恵蓮さん» 恵蓮さんありがとうございます!励みになります…!! (9月16日 19時) (レス) id: c318ee380a (このIDを非表示/違反報告)
恵蓮(プロフ) - これからの更新も楽しみにしております! (9月16日 19時) (レス) @page6 id: 727a00857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:take | 作成日時:2023年9月15日 1時