じぇねがーる。 (ページ21)

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Ryuto ページ21

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『龍友くん』

「なんでしょう？」

『もうすぐ春ですね』

「あぁ笑はい。そうですね。笑」

2人でベランダに体操ずわりして空を眺める。

青くて大きく広い空。白い雲がふわふわ浮かんでる。

どこからか優しい風が吹いてきて彼女の髪をなびかせる。

もうすぐ春が来るんだと改めて感じる。

『2人でどっか行きたいね。』

「そやなぁ。」

去年も同じ会話した気がする。

いつもそうだ。言うだけで叶えてやれない。

一応計画は立ててみるけど実行できたのはほんの数回。

去年も結局どこにも行けなかった。

Aと行きたい場所たくさんあるのに。

いつもごめんな。そう言おうとしたとき、

突然、彼女が立ち上がって

『まぁ、私は龍友がいてくれたらいいよ。』

そう言った。

『龍友といれるならいい。』

確認するようにもう1度同じ事を言うと、

今度はベランダの手すりに肘をついて、またぼーっと遠くを眺める。

「俺もAがおったらそれでええわ。」

そんな彼女の隣に並んで、俺もまた同じ事を言う。

『なーんだ一緒じゃん。笑』

「せやな。一緒や！笑」

2人して笑い合う。この時間がたまらなく幸せで。

どこか綺麗な場所に行くよりも、

こうして2人でゆっくり過ごす方が幸せなのかもしれない。

そう気付いたある日の午後。

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